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相続した実家の空き家がようやく売れそうになり、要件も確かめて特例が使えそうだと分かった。ところが「確定申告のときに市区町村の確認書がいる」と聞いた途端、どこで、何を添えて申請するのかで手が止まってしまう。この状況の方は少なくありません。空き家の3,000万円特別控除(正式には被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特別控除)は、要件を満たしているだけでは適用されず、書類がそろって初めて確定申告に載せられます。
集める書類は大きく三系統に分かれます。ひとつは税務署に出す確定申告そのものの書類、二つ目が市区町村役場で交付を受ける「被相続人居住用家屋等確認書(ひそうぞくにんきょじゅうようかおくとうかくにんしょ=亡くなった方がその家に住み、相続後は空き家だったことを市区町村が証明する書類)」、三つ目が確認書の交付を申請するために自分でそろえる添付書類です。最も詰まりやすいのが三つ目で、電気や水道を止めた時期を示す書類や被相続人(亡くなった方)の住民票の除票(じょひょう=亡くなって消除された住民票)など、売却の前後で散らばりがちな紙を集める工程になります。この記事では、要件の可否を確かめた後の「書類集め」に絞り、確定申告までを工程順に並べます。要件そのものの判定や、その先の売却全体の進め方は空き家売却の進め方をまとめた記事もあわせてご覧ください。
確認書は「空き家だったこと」を市区町村が証明する一枚

3,000万円控除を確定申告で受けるには、その適用にあたって市区町村長が交付する被相続人居住用家屋等確認書などを添付することとされています。税務署は、その家が本当に「被相続人の居住用で、相続後は誰も住まず貸し出しもしていない空き家だった」かどうかを、市区町村が確認した書類で裏づけとして見ます。つまり確認書は、要件のうち「居住・空き家の事実」を役場に証明してもらう位置づけの書類です。
ここで大事なのは順番です。確認書は税務署ではなく市区町村役場で申請してもらいます。そして役場が確認書を出すためには、こちらが電気・水道の使用中止を示す書類や写真などを添える必要があります。この「添付書類集め」が本題の詰まりどころで、売却が終わってから慌てて探すと、閉栓(へいせん=電気や水道の契約を止めること)の記録がすでに手元にない、といった事態になりがちです。
確認書をもらう前に固めておく前提
書類を集め始める前に、控除の柱となる要件を確認書の記載事項と結びつけて押さえておきます。以下はいずれも国税庁が示す空き家特例の要件です。
- 家屋が昭和56年5月31日以前に建築されたこと。区分所有建物登記がされている建物(分譲マンションなど)でないこと。
- 相続の開始の直前に、被相続人以外に居住していた人がいなかったこと。ひとり暮らしの実家がこれにあたります。
- 相続の時から譲渡の時まで、事業・貸付け・居住のいずれにも使われていないこと。相続後に人に貸したり住んだりすると外れます。
確認書は、このうち「被相続人が住んでいた」「相続後は空き家だった」という事実を役場が確かめるための書類なので、上の前提を証明できる紙(住民票の除票や、空き家だったことを示す資料)が申請時に必要になります。要件をどこまで満たしているかを10項目で点検する手順は別記事に譲り、ここでは満たしている前提で先に進みます。
必要書類を集める工程表:要件確認から確定申告まで

書類集めは、税務署の申告書類・市区町村の確認書・確認書のための添付書類を、時系列に沿って並べると迷いにくくなります。次の工程表で全体像をつかんでください。
| 工程 | どこで | すること | つまずきやすい点 |
|---|---|---|---|
| 1. 要件の最終確認 | 自分で | 建築年・居住・空き家の状態など要件を点検 | 相続後に貸すと外れる。契約前に確認する |
| 2. 売買契約・引渡し | 買主・不動産会社と | 売却を実行し、売買契約書・代金の記録を保管 | 売却代金が1億円を超えると対象外 |
| 3. 添付書類の準備 | 電力・水道会社、役場ほか | 閉栓を示す書類、住民票の除票、家屋の写真などをそろえる | 閉栓の記録は後から取りにくい。早めに依頼 |
| 4. 確認書の交付申請 | 市区町村役場 | 被相続人居住用家屋等確認書の交付を申請 | 担当課名・様式・手数料が自治体で異なる |
| 5. 確認書の受領 | 市区町村役場 | 審査を経て確認書の交付を受ける | 交付まで日数がかかる。申告期に間に合わせる |
| 6. 確定申告 | 税務署 | 申告書に確認書ほか必要書類を添えて提出 | 期限内に売却と申告の両方を終える |
広告この記事の結論:ラクウル(相続不動産)
確認書の取得や必要書類の準備を自分だけで抱えると時間がかかるため、相続の手続きをまとめて相談できる窓口を使う方法もあります。
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工程3でそろえる添付書類は、被相続人がその家に住んでいたこと(住民票の除票など)と、相続後に空き家だったこと(電気・ガス・水道の使用中止を示す書類、家屋の状況が分かる写真、あるいは仲介した不動産会社が作成する書類など)を示すものが中心になります。実際に動く前に、空き家があった市区町村の窓口で必要書類の一覧を必ず取り寄せてください。
家屋を売るか、取り壊して土地を売るかで添える書類が変わる
昭和56年5月31日以前の古い家屋は、現行の耐震基準を満たしていないことが多く、特例では二つの道のどちらかを選びます。この選択によって、確認書やその添付として求められる書類が変わってきます。
判断フロー:耐震で残すか、取り壊すか
- 家屋を残して売る場合:譲渡の時において一定の耐震基準を満たしていることが求められます。令和6年1月1日以後の譲渡では、譲渡の日の属する年の翌年2月15日までに耐震基準を満たすこととなった場合も認められるようになり、買主側での耐震改修も対象に含まれました。この道では耐震性を示す書類が要ります。
- 取り壊して更地で売る場合:被相続人居住用家屋の全部の取壊し等を行ったことが要件です。令和6年1月1日以後は、譲渡後に翌年2月15日までに取り壊した場合も認められます。この道では取壊しを示す書類(工事の契約や滅失の記録など)や更地の状況が分かる資料が要ります。
どちらを選んでも「相続の時から譲渡まで貸付け・居住・事業に使っていない」ことは共通の前提です。耐震改修と取壊しのどちらが手取りに有利かは、改修費や解体費と売却価格の兼ね合いで変わるため、金額の見積もりをとって比べたうえで決めるのが安全です。耐震・取壊しそれぞれで確認書に添える書類の正確な種類は自治体の様式で確認してください(前段の要確認事項に含みます)。
確定申告での出し方と期限

特例の適用には確定申告が必要で、確認書などを添付します。申告のタイミングと、外してはいけない期限を整理します。
- 控除額:譲渡所得の金額から最高3,000万円。ただし令和6年1月1日以後の譲渡で、被相続人居住用家屋および敷地等を相続または遺贈により取得した相続人の数が3人以上である場合は、1人あたり2,000万円までとなります。
- 売却の期限:相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること。加えて、この特例が使えるのは平成28年4月1日から令和9年12月31日までの間の譲渡です(2026年9月時点)。
- 売却代金の上限:売却代金が1億円以下であること。
- 他の特例との関係:相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例など、他の特例の適用を受けていないことが条件です。取得費加算とはどちらか一方の選択になり、両方は使えません。
申告は、売却した年の翌年の確定申告期(原則として翌年2月16日から3月15日ごろ)に行います。確認書の交付には日数がかかるため、工程表の3から5を申告期に間に合うよう逆算して動くことが、この特例を取りこぼさないための最大のポイントです。売却の実行そのものを急ぎたい場合は、買取など期間の読みやすい方法も選択肢になります。
よくある質問
確認書はどこでもらえますか
空き家があった市区町村の役場で交付を受けます。担当課の名称は自治体によって異なり、空き家対策の部署や建築住宅の部署が窓口になることが多いです。まずは代表番号か公式サイトで「被相続人居住用家屋等確認書」の担当を確認してください。
確認書の申請にお金はかかりますか
手数料の有無は自治体の運用によって異なります。申請前に窓口で確認するのが確実です。
確認書はいつ申請すればよいですか
売却(引渡し)を終え、空き家だった事実を示す書類がそろってから申請します。交付までに時間がかかることを見込み、売却した年の翌年の確定申告期に添付が間に合うよう、余裕をもって動いてください。
電気・水道の閉栓を示す書類はどう取りますか
契約していた電力会社・水道事業者などに、使用を中止した日が分かる書類の発行を依頼します。閉栓後は記録が手元に残りにくいため、止めた時点の明細や通知は捨てずに保管しておくと安心です。求められる書類の形式は自治体で異なります(前述の要確認事項に含みます)。
相続人が3人いる場合の控除額はいくらですか
令和6年1月1日以後の譲渡で、家屋と敷地等を相続または遺贈により取得した相続人が3人以上のときは、1人あたり最高2,000万円までとなります。2人までであれば1人あたり最高3,000万円です。
取得費加算の特例と一緒に使えますか
併用はできません。相続財産を譲渡した場合の取得費加算の特例と、この3,000万円控除は、どちらか有利な一方を選ぶことになります。相続税を納めている場合は、両者を試算して手取りが大きい方を選ぶと良いです。
期限を過ぎたら控除は受けられませんか
相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することが要件で、これを過ぎると適用されません。加えて特例自体が令和9年12月31日までの譲渡が対象です(2026年9月時点)。年度で変わる項目のため、申告前に最新の要件を確認してください。
参考・出典
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
- 国税庁 No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm

