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相続した田舎の実家が再建築不可(現在の法律では建て替えができない土地)で、仲介に出しても半年間内見が一件も入らない。仏壇や家財が残ったまま、遠方から片付けに通うだけで交通費がかさむ。こうした「普通の売り方では買い手がつかない空き家」を抱えたとき、次の一手になるのが買取業者です。買取は不動産会社が自ら買主になる方法なので、内見や広告を経ずに売主から直接引き取ってもらえます。
買取業者を選ぶときの結論を先に言えば、判断基準は「①その物件タイプ(訳あり)に対応しているか」「②査定と買取のスピードが明示されているか」「③仲介手数料や解体・残置物処分の費用負担がどうなるか」「④対応エリアに入っているか」「⑤査定額の根拠を説明できるか」の5点です。金額の大小だけで選ぶと、後から費用を差し引かれて手取りが変わることがあります。以下で一つずつ具体化します。
仲介では売れない空き家を、買取で現金化する仕組み
不動産の売り方には大きく「仲介(買主を探して市場で売る)」「買取(業者が直接買う)」「一括査定(複数社に同時に査定を依頼して比べる)」の3ルートがあります。それぞれの費用や期間、向く物件の違いは空き家 売却の方法と費用|仲介・買取・一括査定の違いで表にまとめています。
買取の最大の利点は、市場で買い手を探す必要がないことです。再建築不可、共有持分(一つの不動産を複数人で持っている状態の自分の取り分)、事故物件、ゴミ屋敷化した家など、一般の買主が敬遠しがちな物件でも、業者が再販や活用を前提に買い取ります。総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、全国の空き家は900万2千戸、空き家率13.8%と過去最高で、一戸建の空き家352万3千戸のうち約8割(80.9%)が賃貸・売却用でも別荘でもない「放置系」でした。放置されやすい物件ほど、買取が出口になりやすいということです。
訳あり空き家の買取業者はここで選ぶ|5つの判断基準
1. その物件タイプの取扱いが明記されているか
「空き家買取」とうたっていても、再建築不可や共有持分、心理的瑕疵(過去に事件・事故があった物件)まで対応するかは業者ごとに違います。公式サイトに取扱物件が具体的に列挙されているかを確認します。
2. 査定・買取のスピードが数字で示されているか
「早い」ではなく「査定は◯営業日以内」「買取完了は最短◯日」と数字で書いてある業者は、社内の判断フローが確立している目安になります。
3. 仲介手数料・解体・残置物処分の費用負担
買取では仲介手数料がかからないのが原則ですが、残置物(家財)の処分や解体を売主負担とするか業者側で引き受けるかで手取りが変わります。査定額とあわせて確認します。
4. 対応エリア
全国対応の業者もあれば、都市部限定の業者もあります。田舎の物件は全国対応をうたう業者が選択肢になります。
5. 査定額の根拠を説明できるか
買取価格に公的な相場統計はありません。買取額は「仲介の相場(成約事例や公示地価)から、業者が再販にかかるコストと利益を差し引いた額」として決まります。査定額の内訳や算定の考え方を説明できる業者ほど信頼できます。
あなたの空き家はどの売り方が向くか(判断フロー)
買取が正解とは限りません。条件で切り分けます。
- 再建築不可・共有持分・事故物件・借地/底地など「訳あり」に該当する → 一般の買主がつきにくいため買取が有力。まず訳あり専門業者に査定を依頼する。
- 訳ありではないが、とにかく早く現金化したい・人に知られず売りたい → 内見や広告なしで完結する買取。
- 時間はかけられる・少しでも高く売りたい・立地が良い → 市場で買い手を探す仲介が高値を狙いやすい。まず複数社の一括査定で相場を掴む。
- そもそも売れるか・いくらか分からない → 買取と仲介の両方を扱う会社や一括査定で、査定額を並べて比較してから決める。
おすすめ買取・査定サービス比較
訳あり物件の買取、都市部のエージェント提案、全国対応の一括査定という3タイプを並べます(2026年9月時点・公式サイト確認)。
| サービス | タイプ | 料金 | 対応エリア | スピード・特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ワケガイ(wakegai/株式会社ネクスウィル) | 訳あり物件の買取 | 査定は無料。買取の場合は仲介手数料等も不要 | 北海道から沖縄まで全国(例外あり) | 相談から3営業日以内に査定額を提示、納得すれば最短で翌営業日に買取完了。共有持分・空き家・ゴミ屋敷・再建築不可・借地/底地・事故物件・リースバックに対応 |
| Terass Offer(テラス オファー) | エージェント提案型(一括査定に近い) | 登録から連絡先交換まで完全無料 | 東京・神奈川・千葉・埼玉・愛知 | 匿名で登録でき、机上査定と売却戦略の提案を受けられる。マンション・戸建・土地が対象 |
| リビンマッチ(リビン・テクノロジーズ) | 不動産一括査定 | 利用料金は0円 | 全国(約2,100社以上と提携) | 年間240,000件の査定依頼・資料請求実績、約18年の運営。まず相場を掴みたいときに |
訳ありに該当するならワケガイのような専門買取、都市部で仲介も含め比較したいならTerass Offerや一括査定、と入口を分けると迷いません。
買取だと費用はどれだけ変わるか(明細で確認)
買取で手数料が浮く効果を、仲介と並べて見ます。ここでは800万円で売買が成立した空き家を例にします(買取額は再販コストと業者利益が差し引かれるため、仲介相場より下がる点は前提として押さえてください)。
| 費用項目 | 仲介で売る場合 | 買取で売る場合 |
|---|---|---|
| 仲介手数料(上限) | 最大33万円(税込)※低廉な空家等の特例 | 0円(業者が直接購入のため) |
| 売買契約書の印紙税 | 5千円(500万円超1,000万円以下・軽減措置) | 5千円(同左) |
仲介手数料の上限は、宅地建物取引業者の報酬告示により売買代金を区分して計算します。1,000万円の物件なら「200万円×5.5%+200万円×4.4%+600万円×3.3%=上限39.6万円(税込)」です。さらに、売買代金800万円以下の「低廉な空家等」については特例があり、売主から受け取れる報酬は上限33万円(税込)と定められています。買取ではこの手数料自体が発生しないため、価格が低い空き家ほど手数料の差が手取りに効いてきます。印紙税は買取でも契約書に必要です(平成26年4月1日から令和9年3月31日までの軽減措置適用)。
買取までの流れと準備するもの
専門買取の一般的な流れは「相談・査定→物件調査→提案(買取額の提示)→買取(決済・引き渡し)」です。ワケガイの場合、相談から3営業日以内に査定額が示され、納得すれば最短で翌営業日に買取が完了するとされています。準備しておくとやり取りが早いのは、登記済権利証または登記識別情報、固定資産税の納税通知書、境界や測量に関する書類、相続物件なら被相続人と相続人の関係が分かる戸籍関係の書類です。相続した空き家をそのまま売る場合は、先に相続登記(相続による名義変更。令和6年4月1日から申請が義務化され、正当な理由なく3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象)を済ませておく必要があります。
よくある質問
再建築不可の空き家でも買い取ってもらえますか。
訳あり専門の買取業者は、再建築不可を含めて取扱物件に明記していることがあります。ワケガイは再建築不可・借地・底地なども取扱対象としています。まず該当する物件タイプを扱う業者に査定を依頼してください。
家財(残置物)が残ったままでも売れますか。
ゴミ屋敷を含めて対応する業者があります。残置物の処分をどちらが負担するかで手取りが変わるため、査定時に費用の扱いを確認するとよいです。
買取だと仲介より安くなりますか。
買取価格は仲介相場から業者の再販コストと利益を差し引いて決まるため、一般に仲介より低くなる傾向があります。その分、内見や広告なしで早く確実に現金化できる点を天秤にかけて選びます。
査定はどのくらいで出ますか。
業者によります。ワケガイは相談から3営業日以内に査定額を提示するとしています。スピードを重視するなら、査定日数が数字で明示されている業者を選ぶと見通しが立ちます。
相続した空き家を売ると税金はかかりますか。
売却益(譲渡所得)が出れば課税されますが、一定の要件を満たす相続空き家には最高3,000万円の特別控除があります(令和9年12月31日までの譲渡、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却、売却代金1億円以下などの条件)。適用可否は個別事情で変わるため、税務署や税理士に確認してください。
共有名義の空き家は自分の持分だけでも売れますか。
共有持分の買取に対応する業者があります。他の共有者の同意なしに自分の持分だけを売却できるケースがあるため、共有持分を明記している業者に相談してください。
参考・出典
- ワケガイ(株式会社ネクスウィル)公式サイト https://wakegai.jp/ / https://wakegai.jp/about/
- Terass Offer(テラス オファー)公式サイト https://lp.terass.com/offer_sell/
- リビンマッチ(リビン・テクノロジーズ株式会社)公式サイト https://www.lvnmatch.jp/
- 国土交通省「宅地建物取引業者が受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号、最終改正 令和6年国土交通省告示第949号) https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001750143.pdf
- 国土交通省 消費者向けお知らせ(仲介手数料) https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
- 国税庁 タックスアンサー No.7108(不動産売買契約書の印紙税の軽減措置) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.3306(被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
- 法務省「相続登記の申請義務化」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
- 総務省 令和5年住宅・土地統計調査 基本集計(確報)結果 概要 https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf

