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親が亡くなって大阪府枚方市の実家が空き家になった、けれど何から手をつければいいか分からない。税理士に電話すべきなのか、司法書士なのか、それとも市役所なのか。ネットで調べるほど「税金は」「登記は」「売却は」と窓口が増えていき、かえって動けなくなる。空き家の相続や処分の相談は、こうして入口で迷う人がとても多い場面です。
結論から言うと、進め方は二段構えが合理的です。第一段階として、まず相談料が無料の公的窓口(自治体の空家対策担当や、市区町村が指定した支援法人)で全体像を整理します。第二段階として、そこで見えてきた悩みの中身ごとに、税は税理士、権利の登記は司法書士、境界や測量は土地家屋調査士、売却は宅地建物取引業者へと振り分けます。有料の専門家にいきなり別々へ連絡するのではなく、無料窓口で交通整理をしてから絞り込むと、費用も手間も無駄が出にくくなります。以下、無料で使える窓口から順に見ていきます。
まず無料で相談できる窓口から使う(自治体・支援法人)
空き家に関する相談で、最初に押さえておきたいのが公的な無料窓口です。制度や補助金、特定空家に関する話は、そもそも民間の専門家では答えが出ません。所有する物件の所在地の市区町村に、空き家を担当する部署が置かれています。
自治体の空家対策担当
解体費用の補助金、空き家バンクへの登録、特定空家(そのまま放置すれば倒壊などの危険がある空き家)の指導・勧告といった制度は、すべて市区町村ごとに違います。相談先は「お住まいの市区町村名+空き家+相談」で探すのが確実です。たとえば東京都では住宅政策本部 民間住宅部の空き家対策担当(03-5320-5148)、大阪市では計画調整局建築指導部建築企画課(06-6208-8759)が窓口になっています。大阪府枚方市のように市が独立して制度を持つ地域では、府ではなく各市の窓口に連絡します(連絡先は各市の公式サイトで確認してください)。相談料は無料です。
この窓口が特に効くのが、税の特例と絡む場面です。相続した空き家を売って所得税の3,000万円特別控除を使うには、市区町村長が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」が必要になります。控除の可否を税理士に相談する前に、確認書が取れる物件かを自治体で確かめておくと、話が早く進みます。
空家等管理活用支援法人(令和5年改正で新設)
2023年(令和5年)の空家等対策特別措置法の改正で、市区町村長がNPO法人や一般社団法人などを「空家等管理活用支援法人」として指定できる制度が新設されました(同年6月14日公布、12月13日施行)。管理・活用・売却の橋渡しを担う、行政と民間の中間にある相談相手です。まだ全国どこにでもあるわけではありませんが、指定されている地域では、見守りや活用の入口として無料または実費程度で使えます。自分の市区町村に支援法人があるかは、自治体の空家対策担当に尋ねると分かります。
ワンストップ相談窓口(相談が補助の条件になる例)
自治体によっては、複数の悩みをまとめて受ける総合相談窓口を設けています。東京都の「空き家ワンストップ相談窓口」がその代表で、注意したいのは、この窓口への相談が補助金の条件になっている点です。東京都の空き家家財整理・解体促進事業(家財整理は費用の2分の1・上限5万円、解体は2分の1・上限10万円)は、ワンストップ相談窓口に相談した所有者が対象とされています。つまり、先に業者へ発注してしまうと補助を受けられなくなる恐れがあります。補助金を使う可能性があるなら、着手前にまず相談窓口へ、が鉄則です(金額・要件は年度で変わるため2026年9月時点。利用前に必ず最新の要項を確認してください)。
悩みごと別の相談先 早見表
無料窓口で全体像が整理できたら、あとは悩みの中身ごとに担当の専門家へ振り分けます。士業(しぎょう=資格に基づく専門職)はそれぞれ法律で扱える業務の範囲が決まっているため、「何を頼みたいか」で相談先が一つに決まります。
| 悩みの中身 | 相談先 | できること(根拠となる制度) | 費用の性格 |
|---|---|---|---|
| 税金(譲渡所得の申告、3,000万円控除が使えるか、相続税) | 税理士 | 税務相談・申告書の作成・税務代理(税理士法) | 有料(初回無料相談の事務所もあり) |
| 権利の登記(相続登記、名義変更、抵当権の抹消) | 司法書士 | 登記申請の代理・法務局へ出す書類の作成(司法書士法) | 有料 |
| 表示の登記・境界(測量、境界の確定、解体後の建物滅失登記) | 土地家屋調査士 | 不動産の表示に関する登記の調査・測量・申請代理(土地家屋調査士法) | 有料 |
| 売却・賃貸(いくらで売れるか、買い手探し、媒介契約) | 宅地建物取引業者 | 売買・貸借の媒介や代理(宅地建物取引業法) | 成功報酬(仲介手数料) |
| 制度・補助金・特定空家(解体補助、勧告、税特例が外れる話) | 自治体の空家対策担当 | 制度案内・補助金・空家法に基づく指導など | 無料 |
| 相続人どうしの争い・境界の紛争 | 弁護士 | 法律相談・交渉・訴訟の代理(弁護士法) | 有料 |
| 総合的な整理・活用の橋渡し・見守り | 空家等管理活用支援法人 | 市区町村長が指定した相談・活用の担い手(空家法) | 無料〜実費 |
まぎらわしいのが登記の担当分けです。相続登記や名義変更のように「誰のものか」を記録する権利の登記は司法書士、土地の測量・境界の確定や、解体後に出す建物の滅失登記のように「どんな不動産か」を記録する表示の登記は土地家屋調査士、と分かれます。相続登記を義務化のルールに沿って済ませたいなら司法書士、隣地との境界がはっきりせず売却が進まないなら土地家屋調査士、という具合に切り分けてください。
相談先の選び方(条件から順にたどる)
どこに連絡するか迷ったら、次の順で自分の状況を当てはめると相談先が絞れます。
- まだ名義が親のまま、あるいは相続人が複数で誰が引き継ぐか決まっていない、という「入口の整理」の段階なら、まず自治体の空家対策担当か支援法人へ。無料で全体像を整理し、必要な専門家を教えてもらいます。
- 相続人の間で「誰が取得するか」でもめている、または隣地と境界で争っているなら、交渉や訴訟の代理ができるのは弁護士だけです。もめ事は最初から弁護士へ。
- 名義の引き継ぎ(相続登記)が済んでいないなら司法書士へ。相続登記は2024年(令和6年)4月から義務化され、取得を知った日から3年以内に申請しないと10万円以下の過料の対象になり得ます。
- 境界があいまい・測量図がない・解体後の滅失登記が必要なら土地家屋調査士へ。
- 売って手放したい段階に来たら、価格や進め方は宅地建物取引業者へ。仲介と買取で手取りや期間がどう違うかは、売却の進め方をまとめた記事で確認してください。
- 売却で利益や特例が絡むなら、申告の前に税理士へ。譲渡所得の計算や3,000万円控除の可否は税理士の担当です。
売却の相談を具体的に進めたいときは、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる一括査定サービスを使うと、相場感をつかんだうえで会社を選べます。
相談前にそろえておくもの・費用の目安
どの窓口でも、手元に資料があるほど相談がスムーズです。共通してあると良いのは、固定資産税の課税明細書(納税通知書に同封)、登記事項証明書または権利証、物件の所在地が分かる地図、建物の建築時期が分かる資料です。空き家特例の3,000万円控除を考えるなら、建物が昭和56年5月31日以前に建てられたかどうかが要件に関わるため、建築時期の裏付けは早めに確認しておくと役立ちます。
費用の性格も相談先で異なります。自治体・支援法人・ワンストップ相談窓口は相談自体が無料です。相続放棄を家庭裁判所へ申し立てる場合は、収入印紙800円(申述人1人につき)に郵便切手が加わります。相続登記の登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。売却で使う仲介は成功報酬型で、契約が成立して初めて仲介手数料が発生します。税理士・司法書士・土地家屋調査士・弁護士への報酬は事務所ごとに異なりますが、初回相談を無料にしている事務所もあるため、費用感は最初の問い合わせで確認しておくと安心です(2026年9月時点。税率・手数料は改定されることがあります)。
よくある質問
まずどこに相談すればいいか、一つに絞るとしたら?
物件の所在地の市区町村にある空家対策担当窓口です。相談料が無料で、補助金や制度、税特例に必要な確認書まで一括で状況を整理でき、必要に応じてどの専門家へ行けばよいかも案内してもらえます。
相続放棄をしたいのですが、相談先はどこですか?
手続き先は被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で、原則として相続の開始を知ったときから3か月以内の申述が必要です。放棄しても、放棄の時に空き家を現に占有していた人には引き渡すまでの保存義務が残る場合があるため、判断に迷うときは弁護士や司法書士に相談してから決めるのが安全です。
境界がはっきりしないと言われました。誰に頼めばいいですか?
土地の測量や境界(筆界)の確定は土地家屋調査士の担当です。売却の前に境界があいまいだと買い手が付きにくくなるため、宅地建物取引業者から測量を求められたら土地家屋調査士へ依頼します。隣地所有者と法的に争っている場合は弁護士も関わります。
解体費用の補助金は、どこに相談すれば使えますか?
補助金は市区町村ごとに制度が違うため、自治体の空家対策担当窓口です。注意点として、多くの制度は工事に着手する前の申請や事前相談が条件になっており、東京都のように相談窓口への相談が補助の前提になっている例もあります。業者へ発注する前に必ず自治体へ確認してください。
空き家をまだ売るか決めていません。それでも相談できますか?
売るか、貸すか、管理して残すか迷っている段階の相談こそ、自治体や空家等管理活用支援法人が向いています。無料で全体の選択肢を整理でき、決めきれないうちに有料の専門家を何人も回る無駄を避けられます。
相続登記は自分でもできますか。それとも司法書士に頼むべきですか?
相続登記は法務局で自分で申請することも可能です。ただし相続人が多い、遺産分割の書類が複雑、複数の不動産にまたがるといった場合は、書類の不備で差し戻されやすくなります。手間や正確さを優先するなら司法書士へ依頼し、手続きの流れを確認したうえで自分でやるか判断するとよいでしょう。
参考・出典
- 国土交通省 空家等対策特別措置法(令和5年改正)ページ https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html
- 空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC1000000127
- 東京都住宅政策本部 空き家対策(家財整理・解体促進事業) https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/akiya/hojo/kaitai_seiri
- 大阪市 空き家の適正管理・利活用 https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000406807.html
- 国税庁 タックスアンサー No.3306(被相続人の居住用財産=空き家を売ったときの特例) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
- 法務省 相続登記の申請義務化について https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
- 裁判所 相続の放棄の申述 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
- 法務省 相続土地国庫帰属制度 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html
- 国土交通省 空き家・空き地バンク総合情報ページ https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html

