不動産 評価証明書|取り方と使いどころ

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親から相続した空き家の相続登記を司法書士に頼んだら、見積もりの前に「固定資産評価証明書を取ってきてください」と言われた。あるいは、査定を依頼する前に、その家がおおよそいくらの評価になっているのかを自分で確かめておきたい。空き家の売却を進めると、この一枚の書類が相場の確認と相続登記の両方の場面で必ず登場します。

結論から言うと、固定資産評価証明書は「物件のある市区町村役場で取る、評価額を役所が証明した紙」で、使い道の中心は相続登記の登録免許税(登記にかかる税金)の計算です。取り方は窓口・郵送・自治体によってはコンビニ交付と決まっており、請求できる人と手数料が自治体ごとに違うだけで、手続き自体は難しくありません。この記事では取り方の手順と、二つの使いどころを順にまとめます。

固定資産評価証明書は「評価額を役所が証明する紙」

市区町村は、区域内の土地・家屋について所有者・所在地・評価額などを「固定資産課税台帳」に登録しています。この台帳の内容を証明するのが固定資産評価証明書です。地方税法では、台帳の閲覧(第382条の2)と、記載事項の証明書の交付(第382条の3)がそれぞれ定められています。

似た名前の書類がいくつかあり、使う場面が違います。混同すると窓口で取り直しになるので、下の表で違いを押さえておきます。

書類の名前 おもに載る内容 おもな使い道
固定資産評価証明書 固定資産税評価額 相続登記の登録免許税の計算、裁判所や相続手続きへの提出
公課証明書 評価額に加え、課税標準額や税相当額 売買のときの固定資産税の日割り精算など
名寄帳(課税台帳の写し) 同じ市区町村内でその人が持つ全物件の一覧 相続で対象物件を漏れなく把握する

相続登記の登録免許税を計算するだけなら「評価証明書」で足りますが、相続で家や土地を数多く持っていた場合は、まず名寄帳で物件を洗い出してから必要な物件の評価証明書を取ると漏れがありません。

どこで・誰が請求できるか(物件のある市区町村)

請求先は物件が所在する市区町村役場の税務担当課です。自分の住所地ではなく、家や土地がある自治体で取ります。東京23区内の物件は区役所ではなく都税事務所が窓口になる点に注意してください。

請求できるのは、原則として次のような人です。範囲や必要書類の細かい線引きは自治体ごとに異なるため、事前に公式サイトで確認してください。

  • 物件の所有者本人
  • 相続人(所有者が亡くなっている場合。戸籍などで相続人であることを示す)
  • 借地人・借家人など、正当な利害関係がある人
  • 本人から委任を受けた代理人(委任状が必要)

手数料は自治体ごとに決められており、1件あたり数百円程度が一般的ですが、金額は自治体によって差があります。正確な額は各自治体の手数料一覧で確認してください。

取り方の手順と必要書類(窓口・郵送)

取り方は大きく分けて、窓口・郵送・(対応自治体なら)コンビニ交付の三つです。相続人が遠方に住んでいる空き家では、郵送請求を使う場面が多くなります。

  1. 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)を用意する
  2. 相続人が請求する場合は、被相続人と自分の関係が分かる戸籍謄本などを添える
  3. 代理人が請求する場合は、所有者本人の委任状を用意する
  4. 窓口なら申請書に記入して手数料を支払う。郵送なら申請書・本人確認書類のコピー・手数料分の定額小為替・返信用封筒を同封して送る

物件を特定するために、地番・家屋番号が分かる資料(納税通知書や登記事項証明書など)があると手続きがスムーズです。評価額は年度ごとに管理され、固定資産税の賦課期日は1月1日と定められています。相続登記や税の申告では「どの年度の評価額か」が問われるため、必要な年度を申請書で指定します。手数料の額や郵送で使える支払方法は自治体ごとに異なります。

使いどころ1:登録免許税を計算する(評価額×0.4%)

評価証明書のいちばんの用途は、相続登記のときに納める登録免許税の計算です。相続による所有権移転登記の登録免許税は、固定資産税評価額×0.4%で計算します(国税庁 No.7191)。この「評価額」を証明するのが評価証明書というわけです。

相続する不動産の評価額 登録免許税(評価額×0.4%)
100万円(土地) 免税(0円)
500万円 2万円
1,000万円 4万円
2,000万円 8万円

土地については、評価額が100万円以下の場合は登録免許税が免税になります(令和9年3月31日までの措置)。地方の空き家では土地の評価額がこの水準を下回ることもあり、その場合は土地分の登録免許税がかからないことになります。評価額が数万円単位で見積もりに影響するため、司法書士に相続登記を依頼するときも、自分で登記するときも、まず評価証明書で正確な評価額を確認してから税額を出します。相続登記そのものの手順や必要書類は、この記事とは別の相続登記の解説にまとめています。

使いどころ2:相続の分け方と査定の下調べ

もう一つの使いどころが、相続の話し合いや売却前の下調べです。兄弟で空き家を分けるとき、まず「その不動産にどれくらいの評価がついているか」を共通の土台にすると話が進めやすくなります。評価証明書の評価額はその客観的な材料になります。

ただし注意したいのは、固定資産税評価額と実際の売買相場(成約価格)は別物だということです。評価額はあくまで税金を計算するための価格で、買い手がつく金額とは一致しません。空き家を実際にいくらで売れるかを知りたいときは、評価額をそのまま相場と考えず、成約事例や公的データ、複数社の査定で確かめるのが確実です。売却の進め方全体(仲介と買取で手取りや期間がどう変わるか)は、空き家 売却の進め方をまとめた記事で整理しています。

よくある質問

固定資産評価証明書と、毎年届く納税通知書は同じですか

別の書類です。納税通知書(課税明細書)にも評価額の記載はありますが、相続登記などで役所の証明として提出を求められるのは評価証明書です。手続きの提出先が「証明書」を指定している場合は、明細書では代用できないことがあります。

評価証明書の評価額は、そのまま売却価格の目安になりますか

目安にはなりません。評価額は税金計算のための価格で、実際の売買相場とは異なります。売却価格を知りたいときは、査定や成約事例で別に確かめてください。

名義がまだ亡くなった親のままでも取れますか

相続人であることを戸籍などで示せば、相続人として請求できます。範囲や必要書類は自治体ごとに異なるので、事前に確認しておくと安心です。

郵送で取り寄せられますか

多くの自治体で郵送請求に対応しています。申請書・本人確認書類のコピー・手数料分の定額小為替・返信用封筒を同封して送るのが基本の形です。使える支払方法は自治体により異なります。

いつ時点の評価額が出ますか

評価額は年度ごとに管理され、固定資産税の賦課期日は1月1日と定められています。手続きで必要な年度を申請時に指定します。

登録免許税の計算以外に使い道はありますか

相続税や譲渡所得の申告、裁判所への提出、遺産分割協議の資料など、評価額を客観的に示す場面で幅広く使われます。

手数料はいくらですか

自治体ごとに定められており、1件あたり数百円程度が一般的ですが金額に差があります。正確な額は各自治体の手数料一覧で確認してください。

参考・出典

本記事の税額・法令は以下の一次情報に基づきます(2026年9月時点)。制度は年度で変わることがあるため、手続きの前に最新情報を確認してください。

  • 国税庁 タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
  • 地方税法(第382条の2・第382条の3・第359条)e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
  • 総務省「固定資産税・都市計画税」 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_11.html
  • 法務省「相続登記の申請義務化について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
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