空き家バンクとは|登録方法と売れる物件の条件

\u7a7a\u304d\u5bb6\u30d0\u30f3\u30af\u3068\u306f\uff5c\u767b\u9332\u65b9\u6cd5\u3068\u58f2\u308c\u308b\u7269\u4ef6\u306e\u6761\u4ef6 活用・売却実務

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相続で受け継いだ地方の実家を、遠方に住んでいて使う予定がない。不動産会社に相談したものの「この立地では取り扱いが難しい」と言われ、そのまま数年が過ぎてしまった。そんなときに市役所の窓口や広報で目にするのが「空き家バンク」です。手数料が安く、移住希望者とつながれると聞くと期待も膨らみますが、実際に登録すれば売れるのか、どんな家なら問い合わせが入るのかは、名前だけでは判断できません。

結論から言うと、空き家バンクは自治体が空き家の所有者と利用希望者をつなぐ「公的な掲示板」であり、費用を抑えられる反面、買い手が現れるかは地域の需要と物件の状態しだいで、時間もかかります。売り急ぐ事情がなく、その地域に移住・二拠点の需要が見込めるなら有力な選択肢ですが、期限がある相続や現金化を急ぐケースでは、仲介や買取と併用して間口を広げるのが現実的です。以下で仕組み、物件一覧の探し方、登録手順、そして「問い合わせが入りやすい物件の条件」を順に見ていきます。

空き家バンクとは|自治体が運営する所有者と利用者の橋渡し

静かに佇む苔むした日本家屋の全景
静かに時を刻む家(イメージ)

空き家バンクとは、市区町村などの自治体が、売りたい・貸したい空き家の情報を登録し、移住や住み替えで空き家を探している人へ公開する仕組みのことです。多くの自治体では、登録された物件の情報を自治体のウェブサイトに掲載し、問い合わせがあれば所有者と利用希望者を引き合わせます。運営主体が自治体である点が、民間の不動産ポータルサイトと大きく異なります。

自治体が空き家バンクに力を入れる背景には、空き家の増加があります。総務省の令和5年住宅・土地統計調査では、2023年10月1日時点の空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最多・過去最高となりました(総務省 令和5年住宅・土地統計調査、2024年9月公表)。とくに一戸建ての空き家は352万3千戸あり、そのうち賃貸・売却用や別荘を除いた「放置されがちな空き家」が約8割(80.9%)を占めます。使われずに傷んでいく家を、地域の担い手につなぎ直す受け皿として空き家バンクが位置づけられています。

ただし、自治体はあくまで情報を仲介する立場で、価格の査定や契約手続きそのものを代行するわけではありません。売買・賃貸の交渉や契約は、当事者どうし、または自治体が連携する地元の宅地建物取引業者(宅建業者=不動産取引の免許を持つ会社)を通じて進めるのが一般的です。

物件一覧はどこで見る|全国版バンクと自治体ごとのバンク

空き家バンクの物件一覧を探す入口は、大きく二つあります。一つは国が整備した「全国版空き家・空き地バンク」、もう一つは各自治体が個別に運営するバンクです。

全国版空き家・空き地バンクは、国土交通省の事業として株式会社LIFULLとアットホーム株式会社が運営しています。平成29年(2017年)10月に試行運用が始まり、平成30年(2018年)4月から本格運用に入りました(国土交通省 空き家・空き地バンク総合情報ページ)。複数の自治体の物件情報を横断して検索できるのが特徴で、地域をまたいで探したい人にとっての入口になります。参加している自治体数や登録物件数は、公表ページに具体的な数値が示されていないため、ここでは件数を挙げません。実際の掲載状況は、その時点でサイトを確認してください。

もう一つが、市区町村が独自に運営するバンクです。全国版に参加していない自治体もあり、その場合は「(市町村名)空き家バンク」で検索し、自治体サイトの一覧ページを直接確認します。地元密着型のバンクでは、移住相談や補助金の案内とセットで運用されていることが多く、その地域の事情に踏み込んだ情報が得られます。

物件一覧を見るときは、価格や間取りだけでなく、次の点を確認すると実態がつかめます。

  • 登録が「売買」か「賃貸」か、あるいは両方可か
  • 再建築の可否や接道状況など、建て替えに関わる注記があるか
  • 「交渉中」「成約済み」の表示から、その地域でどの程度動いているか
  • 内見の申し込み方法と、窓口が自治体か地元不動産会社か

空き家バンクへの登録方法|申し込みから公開までの手順

和室で古い書類を丁寧に見る手元
大切な書類を整える時間(イメージ)

登録の細部は自治体ごとに異なりますが、おおむね次の流れで進みます。着手前に、対象自治体のバンク要綱と申請様式を必ず確認してください。

  1. 自治体の窓口に相談する。空き家対策や定住促進の担当課が窓口になっていることが多く、まず登録できる物件かどうか、要件を確認します。
  2. 登録申込書と必要書類を提出する。物件の所在地や面積、権利関係が分かる書類(登記事項証明書など)を求められるのが一般的です。相続した家では、名義が被相続人のままだと登録前に相続登記を求められる場合があります。
  3. 物件情報を整える。写真、間取り、希望価格や賃料、設備の状態などをまとめます。自治体や連携する不動産会社が現地を確認することもあります。
  4. 一覧ページに公開される。公開後、利用希望者から問い合わせが入ると、自治体を通じて所有者に連絡が来ます。
  5. 交渉・契約する。内見を経て条件が折り合えば、当事者間または宅建業者を介して売買・賃貸借契約を結びます。

登録そのものに費用がかからない自治体が多い一方、宅建業者が仲介に入る場合は仲介手数料が発生します。売買価格が800万円以下(消費税相当額を含まない)の「低廉な空家等」の媒介では、宅建業者が依頼者から受け取れる報酬の上限は税込33万円までと定められています(宅地建物取引業者が受けることのできる報酬の額に関する告示、令和6年7月1日施行)。手数料の扱いは、契約前に誰に何が発生するかを書面で確認しておくと安心です。

空き家バンクで売れる物件の条件|問い合わせが入る家の見極め

空き家バンクに登録すれば必ず売れるわけではありません。買い手・借り手が現れやすいかどうかは、家そのものよりも「その地域に移り住みたい人がいるか」と「その人が住める状態か」で決まります。次の判断フローで、自分の物件がどちらに近いかを見てください。

判断フロー|バンク向きか、仲介・買取向きか

  • 移住・二拠点の需要がある地域か → 観光地の近く、テレワーク移住が話題の地域、子育て支援が手厚い自治体などは需要が見込めます。需要が薄い地域なら、バンクだけに頼らず仲介・買取も並行します。
  • すぐに住める、または直せば住める状態か → 雨漏り・傾き・シロアミ被害が進み、修繕費が家の価値を上回るなら、買い手はつきにくくなります。DIYを前提に安く貸す・売る道もあります。
  • 建て替えができる土地か → 接道要件を満たさず再建築不可の物件は、住宅ローンが使いにくく買い手が限られます。この場合は現金購入層や、訳あり物件を扱う買取業者のほうが動きやすいことがあります。
  • 売り急ぐ事情があるか → 相続の期限や納税、維持費の負担で早く手放したいなら、成約まで時間の読みにくいバンクより、期日を切れる仲介・買取が向きます。

とくに、直せば住める家や、庭・畑付きで田舎暮らしのイメージが湧く物件は、バンク経由で移住希望者の目に留まりやすい傾向があります。逆に、修繕費がかさむ物件や再建築不可の物件は、バンクで長期間動かないことも珍しくないため、間口を広げる工夫が要ります。改修を前提に貸す方法としては、入居者の希望で改修できる「DIY型賃貸借」があり、国土交通省が契約書式例や手引きを公表しています(国土交通省 DIY型賃貸借)。

空き家バンクと仲介・買取の違い|費用と期間で使い分ける

古い和室で書類を手に庭を見る女性
さまざまな選択肢を比較検討する様子(イメージ)

空き家バンクは費用を抑えられる一方で、買い手が現れるまでの期間が読みにくいのが弱点です。売却の方法は大きく分けて、地元の不動産会社に依頼する仲介、業者に直接買い取ってもらう買取、そして空き家バンクの三つがあり、それぞれ費用と期間のバランスが違います。おおまかな性格を並べると次のようになります。

方法 費用の目安 成約までの期間 向いている物件・状況
空き家バンク 登録は無料の自治体が多い(仲介が入れば手数料) 読みにくい(地域の需要しだい) 移住需要のある地域/住める状態の家/急がない
仲介 仲介手数料(低廉な空家等は税込33万円が上限) 数か月以上かかることが多い 相場で売りたい/時間に多少の余裕がある
買取 仲介手数料が不要な業者もある 比較的短い 再建築不可・残置物あり等の訳あり/早く現金化したい

費用や期間、手取りの具体的な違いは、方法ごとの計算例を含めて別の記事で詳しく整理しています。仲介と買取で手取りと期間がどう変わるかは、空き家 売却の進め方|仲介と買取で手取りと期間はここが違うを参照してください。空き家バンクで反応が乏しいときや、再建築不可・残置物ありといった条件で売りにくいときは、訳あり物件を扱う買取の相談窓口に見積もりを取り、比較して決めるのが現実的です。

よくある質問

空き家バンクの登録に費用はかかりますか。

登録自体は無料としている自治体が多いですが、扱いは自治体ごとに異なります。売買や賃貸で地元の不動産会社が仲介に入る場合は、別途仲介手数料が発生します。売買価格800万円以下の「低廉な空家等」の媒介では、依頼者が支払う報酬は税込33万円が上限とされています(令和6年7月1日施行の告示)。

全国版バンクと自治体のバンクはどちらを見ればよいですか。

地域をまたいで探すなら、複数自治体を横断できる全国版空き家・空き地バンクが入口になります。特定の市区町村で探すなら、その自治体のサイトを直接確認すると、全国版に参加していない物件や地域独自の補助情報まで拾えます。両方を見比べるのがおすすめです。

どんな空き家でも登録できますか。

自治体ごとに登録要件が定められており、権利関係が整理されていることや、一定の要件を満たすことが求められます。相続した家で名義が故人のままの場合は、登録前に相続登記を求められることがあります。まずは対象自治体の窓口で、登録できる物件かを確認してください。

登録すればすぐに売れますか。

必ず売れるとは限りません。買い手・借り手が現れるかは、その地域の移住需要や物件の状態に左右され、成約まで時間がかかることもあります。売り急ぐ事情があるなら、仲介や買取と併用して間口を広げる方法を検討してください。

再建築不可の空き家でも登録できますか。

登録できる場合もありますが、建て替えができない物件は住宅ローンが使いにくく、買い手が限られる傾向があります。バンクで動きが乏しいときは、訳あり物件を扱う買取業者に相談し、査定を取って比較するのが現実的です。

空き家バンクで貸すこともできますか。

売買だけでなく賃貸で登録できる自治体もあります。傷みのある家は、入居者の希望で改修できるDIY型賃貸借を前提にすると借り手が見つかりやすくなることがあります。国土交通省が契約書式例や手引きを公表しているので、改修範囲や退去時の原状回復の取り決めを事前に確認してください。

参考・出典

  • 国土交通省 空き家・空き地バンク総合情報ページ https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html
  • 総務省 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果 概要 https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf
  • 国土交通省 DIY型賃貸借 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000046.html
  • 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額(昭和45年建設省告示第1552号、最終改正 令和6年国土交通省告示第949号) https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001750143.pdf
  • 国土交通省 消費者向けお知らせ(仲介手数料の上限) https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
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