空き家 譲ります 無料|渡す前に決める負担の分け方

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相続した田舎の家を、近所の人や親戚に「無料でいいから使ってほしい」と声をかけるところまでは進んでも、いざ話を詰めると「登記はどちらがやるのか」「今年の固定資産税はどちらが払うのか」で止まってしまう。無償で譲る話ほど、お金の話を後回しにしたまま進み、途中で気まずくなって流れてしまいがちです。

先に結論を言うと、空き家を無料で譲るときに決めておくべきは、「名義変更(登記)の費用」「固定資産税の精算」「土地の測量・境界確定」「残置物の撤去」の4つを、譲る側と受け取る側のどちらが持つかです。この4点を口約束のまま進めず、譲渡の前に書面で取り決めておくことが、話を最後までまとめる基準になります。渡す側が先に整理しておく順番で、一つずつ見ていきます。

「無料で譲る」でも0円では終わらない:先に決める4つの負担

古い和室の机で書類に手を伸ばす
思いがけない負担が浮上する場面(イメージ)

無償で家を渡すこと自体は、贈与(対価を取らずに財産を渡すこと)として成立します。ただし所有権を移すための手続きや、家に残った物、隣地との境界には、それぞれ実費や手間がかかります。これを誰が持つかを決めないまま話を進めると、費用の請求書が届いた段階でどちらが払うかでもめ、手続きが止まります。まず全体像を1表にします。

負担項目 中身 決め方の通例 根拠・数値(2026年9月時点)
名義変更の登記費用 登録免許税と司法書士報酬 相続登記は渡す側、譲渡の登記費用は当事者の合意で分ける 相続登記は固定資産税評価額×0.4%
固定資産税の精算 その年度分をどちらが負担するか 日割りにするかは当事者の合意(法律上の義務ではない) 賦課期日は1月1日(地方税法359条)
測量・境界確定 隣地との境界を確定する費用 渡す側が整える場合と、受け取る側が負担する場合の両方あり 物件ごとに大きく変わる
残置物の撤去 家財・家電・ゴミの片付け 渡す側が空にして渡すか、現状のまま渡すかを合意 量と品目で変わる

名義を自分に移してからでないと譲れない

親名義のままの家を他人に譲ることはできません。まず相続登記(亡くなった人から相続人へ名義を移す登記)を済ませて、自分名義にしてから譲渡します。相続登記は2024年4月1日から義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象になります(法務省)。譲渡の話が具体化する前に、この段階を終えておくのが安全です。

相続登記の登録免許税(登記のときに国に納める税)は、固定資産税評価額×0.4%です。たとえば評価額500万円の土地・建物なら、500万円×0.4%=2万円が目安です。なお、価額100万円以下の土地は令和9年3月31日まで登録免許税が免税になります(国税庁 No.7191)。

自分名義にしたあと、受け取る側へ所有権を移す登記が必要です。無償の贈与による所有権移転登記の登録免許税は、相続の0.4%とは税率が異なります。この税率は本記事の確認済みデータの範囲外のため数字は示しません。加えて司法書士に依頼する場合の報酬もかかります。「この登記費用をどちらが持つか」は、譲る側と受け取る側で先に決めておきます。

固定資産税は1月1日の所有者に1年分:途中の精算は「合意」

古い和室の低いテーブルに広がる書類と手元
書類を前に決意を固める様子(イメージ)

固定資産税の賦課期日(課税の基準となる日)は「当該年度の初日の属する年の1月1日」と定められています(地方税法359条)。つまり1月1日時点で登記簿上の所有者だった人に、その年度の1年分の固定資産税が課されます。年の途中で譲っても、市区町村はその年度分を元の所有者に請求します。

ここで見落としやすいのが、年の途中で譲った場合の「日割り精算」です。売買では引き渡し日で日割りにするのが慣行ですが、これは法律上の義務ではなく、あくまで当事者の合意によるものです。無償で譲るときは、その年度分を渡す側がそのまま負担するのか、引き渡し日以降を受け取る側が持つのかを、譲渡の書面ではっきり決めておきます。翌年からは新しい所有者に課税されるので、名義変更を年内に終えておくことも大切です。

境界と残置物:測量と片付けを誰がやるか

土地を渡すときは、隣地との境界がはっきりしているかが問題になります。境界が未確定だと、受け取った側が後で隣人ともめる火種を抱えることになります。測量や境界確定の費用は物件の広さや隣接状況で大きく変わるため、確定した目安の数字は示しません。渡す側が整えてから渡すのか、費用を受け取る側が持つのかを決めておきます。

家財や家電、ゴミなどの残置物も同じです。「使えそうな物はそのまま置いていく」つもりでも、受け取る側にとっては撤去費用のかかる負担物になりがちです。空にして引き渡すのか、現状のまま渡す代わりに撤去は受け取る側が行うのかを、量と品目まで確認して合意します。

引き取り手が見つからない・負担でもめるときの出口

古びた木の塀と、手入れされていない庭の境界
土地の境界を囲む風景(イメージ)

負担の分け方で折り合わなかったり、そもそも引き取り手が見つからなかったりする場合は、無償譲渡以外の出口も並べて比べます。自治体の空き家バンク(自治体が運営する空き家の情報サイト。国交省の全国版もあります)に登録して相手を探す方法、更地にして相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう方法(建物があると申請できず、更地にしたうえで審査手数料1万4千円と原則20万円の負担金が必要)などがあります。

これらの負担を自分で抱えたくない場合は、訳あり物件を扱う買取業者に売る選択肢もあります。手取りは仲介より下がりますが、残置物や境界の問題ごと引き取ってもらえることがあります。売却と無償譲渡のどちらが手取りと手間の面で有利かは、空き家 売却の進め方で仲介と買取の違いを確認したうえで決めると迷いません。

よくある質問

無料で譲れば税金はかからないのですか。

渡す側にお金は入りませんが、受け取る側には贈与税がかかる場合があります。また、名義を移す登記には登録免許税が必要です。税額や課税の有無は個別事情で変わるため、金額が気になる場合は税務署や税理士に確認してください。

固定資産税はいつまで自分に請求されますか。

1月1日時点の所有者に、その年度の1年分が課されます(地方税法359条)。年内に名義変更を終えれば、翌年からは新しい所有者に課税されます。その年度分をどちらが持つかは、譲渡の書面で決めておきます。

残置物を置いたまま渡してもいいですか。

受け取る側が了承すれば可能ですが、撤去費用を相手に負わせることになります。トラブルを避けるため、置いていく物と撤去する物を品目で確認し、費用の負担をどちらが持つかを書面に残しておくのが安全です。

境界がはっきりしない土地でも譲れますか。

譲ること自体はできますが、後で隣地ともめる原因になります。測量や境界確定を渡す前に行うか、その費用と手続きを受け取る側が引き継ぐことに合意してから進めるのが無難です。

引き取り手がどうしても見つかりません。

自治体の空き家バンクへの登録、更地にして相続土地国庫帰属制度を使う方法、訳あり物件の買取業者に売る方法があります。それぞれ費用や条件が違うので、負担と手取りを比べて選びます。

相続登記をしないまま譲ることはできますか。

できません。まず自分名義に相続登記をしてからでないと譲渡できません。相続登記は義務化されており、取得を知った日から3年以内に申請しないと過料の対象になります。

参考・出典

  • 地方税法(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
  • 法務省「相続登記の申請義務化」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
  • 国税庁 タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」: https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
  • 法務省「相続土地国庫帰属制度」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html
  • 法務省「相続土地国庫帰属制度の負担金」: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00471.html
  • 国土交通省「全国版空き家・空き地バンク」: https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html
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