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市役所の窓口で「空き家バンクの登録は無料です」と言われて安心し、地方の実家を登録したものの、いざ買い手が見つかった段階で「では仲介する不動産会社を通しますので手数料がかかります」と説明され、手元にいくら残るのか急に不安になった。空き家バンクを使った方から、こうした戸惑いをよく聞きます。無料という言葉が頭に残っていると、成約時のお金が想定外に感じられるためです。
判断の軸は、かかるお金を「登録の段階」と「成約の段階」に分けて考えることです。多くの市町村で登録そのものに手数料はかかりませんが、売買が成立するときは宅地建物取引業者(宅建業者=不動産取引の免許を持つ会社)が間に入り、仲介手数料が発生するのが通常です。さらに売買価格が800万円以下の空き家では、通常の計算式より手数料が高くなる特例があります。この記事では、空き家バンクにまつわるお金を登録時と成約時に分けて、公式に確認できる数字だけで整理します。
空き家バンクとは|市町村が情報をつなぐ仕組みで、お金がかかるのは成約時

空き家バンクは、売りたい・貸したい空き家の情報を市町村(自治体)が登録し、買いたい・借りたい人へ紹介する仕組みです。国が整備した全国版空き家・空き地バンクは、株式会社LIFULLとアットホーム株式会社が運営し、平成29年10月に試行運用が始まり、平成30年4月から本格運用されています(2026年9月時点・公式サイト確認)。各市町村が独自のバンクを持っている場合も多くあります。
お金の面での特徴は、自治体はあくまで「情報を載せる場」を提供する立場だという点です。価格の交渉や契約手続きそのものは、当事者どうし、または自治体が提携する宅建業者が担います。だからこそ、費用が本格的に発生するのは登録のときではなく、買い手が決まって契約に進む成約の段階になります。登録方法や売れる物件の条件そのものは別の記事にゆずり、ここではお金だけに絞ります。
登録にかかる費用|市町村への登録は手数料なしのことが多い
空き家バンクへの登録手数料は、手数料を取らない市町村が多いのが実情です。ただし全国共通の決まりがあるわけではなく、登録料の有無や条件は自治体ごとの要綱・利用案内で定められています。登録を申し込む前に、対象となる市町村の空き家バンクの利用案内で「登録料はかかるか」を必ず確認してください。
登録料が無料でも、登録に添える書類の取得には実費がかかります。たとえば所有権を確認するための登記事項証明書などです。また、物件写真の撮影や間取り・状態を伝える情報づくりを自分で行うか、提携業者に任せるかでも、手間と費用の感覚は変わります。ここまでは金額としては小さく、「空き家バンクは掲載の面では安い」と言われる理由でもあります。負担が本格化するのは次の成約時です。
空き家バンク 費用の中心|成約時の仲介手数料

買い手が見つかり、宅建業者が契約を仲介した場合、売主・買主それぞれに仲介手数料がかかります。この手数料には国が定めた上限があり、依頼者の一方につき、売買代金(消費税相当額を含まない金額)を次のように区分して合計します。いずれも消費税等相当額を含んだ税込の率です(2026年9月時点・国土交通省告示)。
- 200万円以下の部分:5.5%
- 200万円を超え400万円以下の部分:4.4%
- 400万円を超える部分:3.3%
国土交通省の消費者向けページでは、1,000万円の物件を例に「200×5.5%+200×4.4%+(1,000-400)×3.3%=上限39.6万円(税込)」と計算例が示されています。これはあくまで上限で、これを超えて請求することはできません。空き家バンクを通したからといって、この上限ルールが特別に安くなるわけではなく、民間の不動産会社に仲介を頼んだ場合と同じ基準が適用されます。
なお、空き家バンクの中には、宅建業者を介さず売主と買主が直接契約する形を認めているところもあります。その場合は仲介手数料がかかりませんが、重要事項の説明や契約書の作成といった専門家のチェックが入らないため、後のトラブルを避ける観点では、宅建業者や自治体の相談窓口を通す方が安心です。手数料の有無だけで決めない方がよい部分です。
800万円以下の空き家は仲介手数料が最大33万円になる
ここが空き家バンクの費用でつまずきやすいところです。売買代金(税抜)が800万円以下の物件は「低廉な空家等」と呼ばれ、宅建業者は媒介にかかる費用を勘案して、先ほどの区分計算で出した金額を超えて報酬を受け取れる特例があります。ただし依頼者から受ける額は30万円の1.1倍、つまり上限33万円(税込)を超えてはいけません(2026年9月時点・国土交通省告示第1552号)。
言い換えると、価格が低い空き家では、通常の割合で計算した額よりも手数料が高くなることがあるということです。実際の数字で並べると次のようになります。
| 売買価格(税抜) | 通常の区分計算による上限(税込) | 低廉な空家等の特例(上限33万円) |
|---|---|---|
| 200万円 | 11万円 | 最大33万円まで請求できる |
| 400万円 | 19.8万円 | 最大33万円まで請求できる |
| 500万円 | 23.1万円 | 最大33万円まで請求できる |
| 800万円 | 33万円 | 通常計算で既に上限に達する |
広告この記事の結論:訳あり物件買取センター
空き家バンクでも宅建業者が仲介に入れば通常の仲介手数料がかかりますが、訳あり物件を扱う買取業者は自社で買い取るため仲介手数料等が不要と公式サイトに明記されています。
広告です。対応エリアと物件の条件は公式でご確認ください。
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たとえば200万円の空き家なら、通常の計算では11万円ですが、この特例で最大33万円まで請求されうるということです。安く手放すつもりが、手数料の比率だけ見ると意外に重く感じられる場面です。
重要なのは、この特例を使うには、宅建業者が媒介契約を結ぶときに、あらかじめ上限の範囲内で報酬額を売主に説明し、合意を得る必要がある点です。何も説明のないまま高い手数料を請求することはできません。媒介契約の前に「うちは低廉な空家等の特例で手数料をいくらにしますか」と金額をはっきり確認しておけば、後で驚くことを防げます。名称に「空家等」とありますが、この特例は使用の状態を問わず、800万円以下であれば空き家でなくても対象になります。買主の側に立って売買を代理してもらう場合は、この額の2倍以内が上限です。
仲介手数料以外にかかるお金|印紙税・登記・税金
成約時にかかるのは仲介手数料だけではありません。金額は物件によりますが、次のような費用も見込んでおきます。
売買契約書の印紙税は、契約金額に応じてかかります。令和9年3月31日までに作成される不動産の譲渡契約書には軽減措置があり、空き家バンクで扱う価格帯では次のとおりです(2026年9月時点・国税庁)。
- 100万円超500万円以下:1千円
- 500万円超1,000万円以下:5千円
- 1,000万円超5,000万円以下:1万円
相続した空き家を売る場合は、その前提として相続登記(不動産の名義を故人から相続人へ変える手続き)が必要です。相続登記は令和6年4月1日から義務化されており、登録免許税は固定資産税評価額の0.4%です。ただし土地の価額が100万円以下のときは、令和9年3月31日まで登録免許税が免除されます(2026年9月時点・国税庁)。地方の低額な土地では、この免税に当たることも少なくありません。
このほか、住宅ローンが残っていた物件では抵当権抹消の登記費用、境界がはっきりしない土地では測量費などがかかる場合があります。また、売却によって利益(譲渡所得)が出れば所得税・住民税がかかりますが、相続した空き家には一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を差し引ける特別控除の可能性があり、この点は税金を扱う別の記事で確認してください。
費用を抑えて手放したいときの考え方

空き家バンクの費用は、価格帯によって重さの感じ方が変わります。次の順で自分の物件を当てはめると整理しやすくなります。
- 売買価格が800万円を超えそうか。超えるなら仲介手数料は区分計算どおり(1,000万円で上限39.6万円など)で、比率としては重すぎない。
- 800万円以下なら、低廉な空家等の特例で手数料が最大33万円になりうる。媒介契約の前に金額を必ず確認し、合意してから進める。
- 手数料そのものを避けたい、または早く現金化したいなら、宅建業者に直接買い取ってもらう買取という選択肢がある。
買取では、業者が自ら買主になるため仲介手数料がかからないのが一般的です。たとえば訳あり物件を扱う買取会社は、公式サイトで「査定は無料」「買取の場合には仲介手数料等も必要ありません」と明記しています(2026年9月時点・公式サイト確認)。ただし買取価格は、仲介で市場に売る場合より下がる傾向があります。業者が再販にかかる費用と利益を差し引いた額を提示するためです。手数料が浮く分と、価格が下がる分のどちらが大きいかは物件によって違うので、手取り額と売れるまでの期間の両面で比べる必要があります。仲介と買取で手取りと期間がどう違うかは空き家 売却の進め方の記事で数字を並べて確認してください。
よくある質問
空き家バンクの登録にお金はかかりますか
登録手数料を取らない市町村が多いですが、全国一律の決まりではありません。登録料の有無は自治体の利用案内で定められているので、申し込む前に対象の市町村で確認してください。無料でも、登記事項証明書などの書類取得には実費がかかります。
空き家バンクで売れたら手数料はいくらですか
宅建業者が仲介した場合、売買価格に応じた仲介手数料がかかります。上限は税込で、200万円以下の部分5.5%、200万円超400万円以下の部分4.4%、400万円超の部分3.3%を合計した額です。1,000万円の物件なら上限39.6万円です。空き家バンクを通しても、この基準は民間仲介と同じです。
800万円以下だと必ず33万円取られるのですか
いいえ、33万円は上限です。低廉な空家等の特例では通常計算を超えて請求できますが、上限33万円(税込)を超えることはできず、しかも媒介契約の前に金額を説明し合意する必要があります。金額は宅建業者との取り決め次第なので、契約前に確認してください。
個人間で直接売買すれば仲介手数料はかからないのですか
宅建業者を介さない直接売買を認めている空き家バンクもあり、その場合は仲介手数料がかかりません。ただし重要事項の説明や契約書の作成といった専門家のチェックが入らないため、境界や契約内容をめぐる後のトラブルに注意が必要です。手数料の有無だけで判断しないようにしてください。
空き家バンクは民間の不動産サイトより安いのですか
登録・掲載の面では、手数料を取らない市町村が多く安く済みます。一方、成約時の仲介手数料は宅建業者が入れば同じ上限ルールが適用されるため、手数料自体が民間より安くなるわけではありません。安さの中心は掲載費用の部分だと理解しておくと誤解を避けられます。
登録のほかに市町村へ払うお金はありますか
多くの市町村では、登録に関して継続的に市町村へ支払う費用は設けていません。ただし提携業者を通じて売買する場合の仲介手数料や、契約に伴う印紙税・登記費用は自治体ではなく当事者や国に支払うものです。自治体への支払いと、取引に伴う費用は分けて考えてください。
参考・出典
- 国土交通省「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額」(昭和45年建設省告示第1552号、最終改正 令和6年国土交通省告示第949号)第二・第七・第八 https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001750143.pdf
- 国土交通省 消費者向けお知らせ(仲介手数料の計算例) https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bf_000013.html
- 国税庁 タックスアンサー No.7108「不動産の譲渡・消費貸借等に関する契約書(印紙税額の軽減措置)」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」(相続登記の登録免許税・免税措置) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
- 国土交通省 空き家・空き地バンク総合情報ページ https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html

