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相続した実家が空き家のまま数年たち、そろそろ解体して更地にしようかと考え始めた方が、最初につまずくのが費用の見当がつかないことです。検索すると「解体費用の平均は◯◯万円」という数字がいくつも出てきますが、その額を自分の家に当てはめてよいのか判断できず、業者に問い合わせる前で止まってしまう、という状況はよくあります。
結論から言えば、空き家の解体費用に公的な全国平均の統計はありません。金額は建物の構造・延床面積・立地・残置物の量で大きく動くため、「平均額を一つ覚える」よりも、自分の物件で複数の業者から見積りを取り、あわせて自治体の補助金があるかを着手前に確認するのが、費用を正しく把握し抑える唯一の方法です。以下でその中身を順に整理します。
空き家の解体費用に「全国平均」がない理由と、金額を動かす4つの要因

国土交通省や総務省に、解体費の平均額を示す公的統計はありません(2026年9月時点)。同じ延床でも次の要因で金額が変わるため、平均という一つの数字が実態を表しにくいのです。見積書を見るときも、この4点がどう反映されているかを確認します。
- 構造: 木造よりも鉄骨造、さらに鉄筋コンクリート造の順で、取り壊しと廃材処分の手間が増え、費用が上がる傾向があります。
- 延床面積: 建物が大きいほど廃材の量と作業日数が増えます。
- 立地: 前面道路が狭く重機(解体用の大型機械)が入れない現場は手作業が増え、費用が上がります。隣家との距離が近い場合も養生や慎重な作業が必要になります。
- 残置物: 家具・家電・生活ごみなど残された物(残置物)が多いほど、別途の処分費が加算されます。長く放置した空き家ほどこの項目が膨らみやすい点に注意します。
解体の見積書の内訳|どこを見て比べるか
相見積り(複数業者から同条件で見積りを取ること)を並べても、合計額だけを比べると判断を誤ります。次のような項目が一式にまとめられていないか、内訳で確認します。
- 仮設工事費(足場・養生シート)
- 本体の取り壊し工事費(構造ごとに単価が異なる)
- 廃材・廃棄物の運搬費と処分費(マニフェスト=産業廃棄物の管理票の発行を含むか)
- 残置物の撤去・処分費
- 付帯工事費(ブロック塀・樹木・カーポート・地中埋設物の撤去)
- 整地費(解体後に土地をならす費用)
特に地中埋設物(過去の建物の基礎やガラなど、掘ってみて初めて分かるもの)は、契約後に追加費用が発生しやすい項目です。見積り段階で「地中埋設物が出た場合の扱い」を書面で確認しておくと、後のトラブルを避けられます。
解体前に知っておく2つの落とし穴

更地にすると土地の固定資産税が上がる
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準(税額の計算のもとになる評価額)を軽くする住宅用地特例があり、200平方メートル以下の部分は6分の1に減額されています(総務省)。建物を解体して更地にするとこの特例が外れ、土地部分の固定資産税が上がります(最大で解体前の6倍)。解体するかどうかは、この税負担の変化も含めて考える必要があります。特例と税額の詳しい条件は本サイトの関連記事で扱っています。
放置し続けても費用は消えない
倒壊などの危険がある空き家は、空家等対策の推進に関する特別措置法(空家法)で特定空家等に指定され、行政代執行(自治体が代わりに取り壊すこと)に至ると、その費用は所有者の負担になります(同法第22条)。「解体費用が惜しくて放置」しても、結局は自分で払う結果になりやすい構図です。
自治体の解体補助金の代表例|東京都・横浜市・大阪市
解体費の一部を補助する制度は、国の一律の制度ではなく各自治体が独自に設けています。対象になる建物の築年・耐震性・道路条件などが決まっており、制度がない自治体もあります。金額や条件は年度ごとに変わるため、必ずお住まいの自治体で最新の情報を確認してください。以下は公式サイトで確認した代表的な3例です(2026年9月時点・公式サイト確認)。
| 自治体・制度名 | 主な対象 | 補助額の例 |
|---|---|---|
| 東京都 空き家家財整理・解体促進事業 | 都内の空き家所有者等(東京都空き家ワンストップ相談窓口に相談した人が対象) | 家財整理: 費用の2分の1・上限5万円/解体: 費用の2分の1・上限10万円 |
| 横浜市 住宅除却補助制度 | 平成12年5月末以前に着工し、耐震性が低いと判断された木造住宅等 | 旧耐震(昭和56年5月末以前): 上限50万円/新耐震(昭和56年6月〜平成12年5月末): 一般世帯20万円・非課税世帯40万円 |
| 大阪市 狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度 | 幅員の狭い道路に面する老朽木造住宅(対策地区・重点対策地区) | 対策地区(昭和25年以前・幅員4m未満): 戸建105万円/戸/重点対策地区(昭和56年5月31日以前・幅員6m未満): 戸建170万円/戸(補助率の上限あり) |
金額の大きさよりも、まず自分の物件が対象条件に当てはまるかを確かめることが先です。横浜市は令和8年度の申請受付が令和8年4月1日から令和8年12月28日まで、令和9年2月末までに工事完了と完了報告が必要とされています(2026年9月時点)。このように受付期間が区切られている制度が多い点にも注意します。
補助金申請の手順|着手前にやることの判断フロー
解体補助金でもっとも多い失敗が、先に工事契約や解体に着手してしまい、対象外になるケースです。多くの制度は「着手前の相談・申請」を条件にしています。次の順序で進めます。
- 自治体の窓口に制度の有無を問い合わせる。空き家対策や建築防災の担当課に、解体・除却の補助制度があるかを確認します。
- 対象条件を照合する。築年(旧耐震かどうか)、構造、前面道路の幅員、地区指定などが条件に合うかを確かめます。東京都のように、まず相談窓口への相談が対象要件になっている制度もあります。
- 着手前に申請する。工事契約や解体を始める前に交付申請を出し、交付決定を受けてから契約・着工します。
- 完了報告を期限内に提出する。工事完了後、期限までに報告書を出して補助金の確定を受けます。
制度がある場合とない場合で、解体を「補助金の年度に合わせるか」「そのまま売却を選ぶか」の判断が変わります。解体費をかけずに手放す選択肢もあるため、費用対効果で比べることが大切です。
広告この記事の結論:解体工事110番
解体費用に全国平均はなく、構造や残置物の量で大きく変わるため、まず自分の家の見積もりを取ることが比較の出発点になります。
広告です。対応エリアと条件は公式でご確認ください。
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解体して売るか、そのまま売るか|見積の取り方と比較の基準

解体費用を出しても更地の方が高く売れるとは限りません。買取業者のなかには、空き家や残置物のある家、再建築不可(建て替えができない土地)の物件を、解体せずそのままの状態で買い取るところもあります。この場合、解体費用と手間をかけずに手放せます。
迷ったときは、次の3つの手取り額を並べて比べます。第一に、解体して更地で売った場合の売却額から解体費と更地後の税負担を引いた額。第二に、解体せず現況のまま仲介で売った場合。第三に、そのまま買取に出した場合です。解体費に公的な平均がない以上、実際の見積りを取ってから比較するしかありません。仲介・買取のどちらが手取りと期間で有利かは、空き家 売却の進め方の記事で費用と期間の違いを整理しています。
よくある質問
空き家の解体費用の相場・平均はいくらですか
解体費の平均額を示す公的な統計はありません(2026年9月時点)。金額は構造・延床面積・立地・残置物の量で変わるため、自分の物件で複数の業者から見積りを取って比べるのが確実です。ネット上の「平均◯万円」は条件が違えば当てはまりません。
補助金はどの空き家でももらえますか
いいえ。解体補助金は自治体ごとの制度で、対象になる築年・耐震性・道路条件などが決まっており、制度自体がない自治体もあります。まずお住まいの自治体の空き家対策や建築防災の担当課に、制度の有無と対象条件を確認してください。
解体して更地にすると固定資産税は上がりますか
上がる場合があります。住宅が建つ土地は固定資産税の住宅用地特例で軽減されており、解体して更地にすると特例が外れて土地部分の税額が上がります(最大で6倍)。解体の判断には、この税負担の変化も含めて考える必要があります。
補助金は解体してからでも申請できますか
多くの制度は着手前の相談・申請が条件で、先に契約や解体をすると対象外になります。東京都の制度のように、まず相談窓口への相談自体が対象要件になっている例もあります。工事を始める前に必ず窓口へ確認してください。
解体しないと空き家は売れませんか
そうとは限りません。買取業者のなかには、空き家や残置物のある家、再建築不可の物件をそのまま買い取るところもあります。解体費をかけずに手放したい場合は、更地にする前に現況での買取や仲介と手取りを比較すると判断しやすくなります。
相続した空き家の土地を国に返すには解体が必要ですか
相続土地国庫帰属制度は、建物がある土地は申請が却下される仕組みで、更地にしてからの申請が前提です。承認された場合の負担金は原則として面積にかかわらず20万円とされています(法務省、2026年9月時点)。田舎の土地を手放す出口としては、解体費と負担金の両方を見込む必要があります。
広告次に確かめるなら:訳あり物件買取センター
解体せずそのままの状態で買い取る業者もあるため、解体費をかけずに手放せるかを先に確認できます。
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参考・出典
- 東京都住宅政策本部 空き家家財整理・解体促進事業 https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/akiya/hojo/kaitai_seiri
- 横浜市 住宅除却補助制度 https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/bosai/taishin/hojokinshienseido/mokutai/jyuutakujyokyaku.html
- 横浜市 空家を手放したい方へ(解体) https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/sien/akiya/kaitai.html
- 大阪市 狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度 https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/page/0000531835.html
- 大阪市 空き家の適正管理・利活用 https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000406807.html
- 総務省 固定資産税・都市計画税 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_11.html
- 空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC1000000127
- 法務省 相続土地国庫帰属制度 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html

