本記事にはプロモーション(PR)が含まれます。
親から相続した実家が空き家になり、遠方に住んでいて月に一度行けるかどうか。それでも電気と水道の請求は毎月届き、「ほとんど使っていないのに払い続ける意味があるのか」と迷う方は少なくありません。全部止めれば固定費はゼロに近づきますが、掃除や換気に行くたびに開け直すのは手間ですし、真冬の凍結や防犯まで考えると単純ではありません。
判断の基準はシンプルです。「管理でどれだけ使うか」と「立地・季節のリスク」の二つで決めます。月に一度でも掃除・換気・草木の水やり・内見で使うなら維持しつつ基本料金を下げるのが得策で、当面まったく行かないなら休止・閉栓で固定費を止めるのが原則です。以下、電気・水道・ガスそれぞれの実務的な扱い方と、迷ったときの判断フローを整理します。
使わなくても基本料金は発生する|まず固定費の中身を押さえる

空き家の光熱費でまず理解しておきたいのは、電気も水道もガスも「使用量ゼロでも基本料金(契約しているだけで毎月かかる固定部分)が発生する」という点です。ブレーカーを落として一度も点けていなくても、契約が生きている限り基本料金は請求されます。つまり空き家で払い続けているお金の多くは、実際に使った分ではなく「契約を維持しているだけの固定費」です。
固定費を止める・下げる手段は次のとおりです。中身を分けて考えると、どこを削れるかが見えてきます。
| 費目 | 維持したままの状態 | 下げる・止める手段 |
|---|---|---|
| 電気 | 契約アンペアに応じた基本料金が毎月発生 | 契約電流を下げる「アンペアダウン」、または「休止(一時的な使用中止)」で基本料金を止める |
| 水道 | メーター口径に応じた基本料金+下水道使用料の基本額が発生 | 「閉栓(一時休止)」の手続きで基本料金を止める |
| ガス | 基本料金が毎月発生(都市ガス・プロパンとも) | 「閉栓」で基本料金を止める。再開時は開栓の立ち会いが必要 |
月額の目安は契約種別・地域・メーター口径によって幅があります。金額は検針票や各社の料金表で確認できますが、三つを合計すると「使っていないのに毎月それなりの固定費が出続けている」状態になりがちです。まずは手元の検針票で、基本料金だけでいくら払っているかを一度確認しておくことをおすすめします。
止める・維持するを分ける判断フロー
電気・水道を止めるか維持するかは、次の条件に当てはめて決めると迷いません。上から順に自分の状況を当てはめてください。
| あなたの状況 | おすすめの対応 |
|---|---|
| 月1回以上、掃除・換気・草木の水やり・簡単な補修に通う | 電気・水道とも維持。電気はアンペアダウンで基本料金を圧縮 |
| 遠方で年に数回しか行かない/当面は放置せざるを得ない | 電気・水道は休止・閉栓、ガスも閉栓して固定費を止める |
| 1年以内に売却・賃貸で内見(購入希望者の見学)が入る見込み | 電気は維持(照明・エアコンの動作確認に使う)、水道も維持 |
| 1年以内に解体を予定している | 解体直前まで最低限にとどめ、着工前にすべて閉栓・精算 |
| 豪雪地・寒冷地で、冬の間は現地に行けない | 水道は水抜き(配管の水を抜いて凍結を防ぐこと)が最優先。電気は凍結防止ヒーターの有無で判断 |
ポイントは、電気と水道を必ずしもそろえる必要はないことです。たとえば「掃除には行くがトイレは使わない」なら電気だけ維持して水道は閉栓、という組み合わせも選べます。使う目的から逆算して一つずつ決めるのが無駄のない方法です。
電気は「アンペアダウン」か「休止」で基本料金を抑える

電気を維持すると決めた場合でも、居住していたときのままの契約アンペアである必要はありません。空き家の管理で使うのは照明・掃除機・たまにエアコンや電動工具くらいですから、契約電流を下げるアンペアダウン(契約アンペアを小さくして基本料金を安くすること)で毎月の固定費を下げられます。電力会社への連絡で手続きでき、多くの場合は費用もかかりません。
一方、当面まったく使わないなら休止(一時的な使用中止)を選びます。休止すると基本料金の請求が止まり、再び使うときに再開の連絡をすれば復旧します。ブレーカーを落とすだけでは契約は生きたままで基本料金は止まらないので、固定費を本当に止めたいなら休止の手続きが必要です。
防犯の観点では、電気を完全に止めると夜間にタイマー照明やセンサーライトを点けられなくなります。人の出入りがまったくない家は放火や不法侵入の標的になりやすいため、通いの頻度が低い家ほど、照明を点けられる状態を残す意味は大きくなります。防犯と固定費のどちらを優先するかは、立地(人通り・近隣の目)で判断してください。
水道は凍結と漏水に注意|冬は水抜きを最優先
水道で空き家特有のリスクになるのが「凍結」と「漏水」です。寒冷地・豪雪地で冬に現地へ行けないなら、閉栓や維持を考える前に、まず水抜き(元栓を閉めて配管内の水を抜くこと)を済ませます。凍結で配管が破裂すると、気づかないまま水が流れ続けて高額な水道料金が発生したり、室内が水浸しになって建物価値を大きく下げたりします。
漏水は寒冷地に限りません。誰も住んでいない家では、パッキンの劣化やわずかな水漏れに長期間気づけず、基本料金だけのつもりが請求が膨らんでいた、というケースがあります。水道を維持するなら、通うたびにメーターの動きと床下・水回りの湿りを点検するのが安全です。逆に、掃除でトイレや水を使う予定がないなら、閉栓してしまうほうがリスクも固定費も抑えられます。
ガスは原則閉栓、必要なときだけ開栓する
ガスは電気・水道と扱いが異なり、空き家では原則として閉栓をおすすめします。理由は二つあります。第一に、掃除や換気の管理でガスを使う場面はほとんどないこと。第二に、再開のたびに保安上の理由で開栓の立ち会い(係員が来て点検する作業)が必要で、思い立ってすぐ使えるわけではないことです。
プロパンガスの場合は、契約している販売店にボンベの撤去まで依頼できます。基本料金が比較的高いことも多いため、使わないと決めたら早めに閉栓するほど固定費の節約になります。リフォームや解体で一時的にガスが要るときだけ、その都度開栓を申し込む運用が現実的です。
契約を維持しても「空き家の売却特例」には影響しない

相続した空き家を売るとき、譲渡所得(売却益)から最高3,000万円を差し引ける「空き家の3,000万円特別控除」があります。この特例には「相続の時から売るときまで、事業・貸付け・居住の用に供されていないこと」という要件がありますが、電気や水道の契約を管理目的で残していること自体は、居住・事業・貸付けには当たりません。つまり掃除や換気のために電気・水道を維持していても、この要件で不利になるものではありません。ただし特例には建築時期や耐震などほかの条件もあり、適用には確定申告と自治体の確認書が必要です。個別の可否は税務署や税理士に確認してください(2026年9月時点)。
もう一つ知っておきたいのが、2023年(令和5年)に施行された改正空家法です。この改正で、市区町村は所有者を特定するために電力会社などへ情報提供を要請できるようになりました。空き家であることは行政に把握されやすくなっており、放置して「管理不全空家」(放置すれば特定空家になるおそれがある空き家)に指導・勧告を受けると、土地の固定資産税を軽くする住宅用地特例が外れることもあります。光熱費の節約だけを追って管理そのものを止めてしまうと、かえって税負担やリスクが増える点には注意が必要です。
そもそも「使う予定がないのに固定費だけ払い続けている」状態なら、維持と売却の損得を一度並べて比べておくと判断がぶれません。売却してしまえば光熱費・固定資産税・管理の手間がすべて止まります。仲介と買取で手取りや期間がどう変わるかは、空き家 売却の進め方|仲介と買取で手取りと期間はここが違うで整理しています。
よくある質問
空き家の電気を完全に止めると防犯上まずいですか?
人通りの少ない立地では、夜間に照明を点けられなくなることで放火や不法侵入の標的になりやすくなります。通いの頻度が低い家ほど、タイマー照明やセンサーライトを使える状態を残す意味が大きくなります。近隣の目がある住宅地であればリスクは下がるため、立地で判断するのが現実的です。
水道を止めると掃除やトイレに困りませんか?
掃除で水を使う予定があるなら維持したほうが便利です。ただし携行タンクやウェットシートで代用できる範囲なら、閉栓して漏水・凍結のリスクと固定費を同時に減らす選択も合理的です。使う頻度と季節から逆算して決めてください。
基本料金をいちばん安く抑える方法は何ですか?
当面まったく使わないなら、電気は休止、水道とガスは閉栓してしまうのが最も固定費を抑えられます。掃除で電気だけ使うなら、休止ではなくアンペアダウンで契約電流を下げるのが折り合いの良い方法です。
しばらく行かない場合、電気とガスはどちらを先に止めるべきですか?
ガスを優先して閉栓します。管理で使う場面がほとんどなく、再開に立ち会いが必要で手間もかかるためです。電気は防犯や動作確認で残す価値が比較的高いので、通いの予定を見てから判断します。
契約者が亡くなった親の名義のままでも大丈夫ですか?
当面はそのまま請求が続くこともありますが、解約・名義変更・休止の手続きには契約者情報が必要になります。相続で家を管理する立場になったら、各社に連絡して名義や連絡先を整理しておくと、その後の休止や精算がスムーズです。
電力会社に空き家であることを伝える必要はありますか?
維持・アンペアダウン・休止いずれの手続きでも各社への連絡は必要です。あわせて、2023年の改正空家法で市区町村が所有者特定のため電力会社等へ情報提供を要請できるようになっており、空き家であることは行政に把握されやすくなっています。管理を続けている実態を残すためにも、放置ではなく手続きを踏んでおくのが安全です。
参考・出典
- 国税庁 No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
- 国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律(令和5年改正)概要 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001621960.pdf
- 空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC1000000127
- 総務省 固定資産税・都市計画税 https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_11.html

