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親が住んでいた家を相続したものの、売るにも貸すにもまず名義を自分に変えなければならない、そう気づいて法務局のサイトを開いたところで手が止まる方は多いです。書類は用意したけれど、どの順番で、どこに、何を出せばよいのかが分からない。司法書士に頼めば数万円から十万円前後かかると聞いて、自分でできないかと考えている。この記事は、必要書類がそろった後の「実際に法務局で手続きを進める順番」に絞って解説します。相続登記(不動産の名義を相続人へ変える登記)を自分でやるかどうかは、相続人が確定していて争いがなく、対象が一つの市区町村内の不動産に収まっているかを基準に判断してください。この条件から外れるほど、専門家に任せる価値が上がります。
管轄の法務局を調べ、申請書の様式をそろえる

相続登記は、どこの法務局でもよいわけではありません。不動産の所在地を管轄する法務局(登記所)に申請します。相続人の住所地ではなく、家や土地がある場所が基準です。まずは法務局の公式サイトにある「管轄のご案内」で、対象となる市区町村を担当する法務局・支局・出張所を確認します。同じ市内でも支局が分かれていることがあり、また建物と土地が別の管轄にまたがる場合は、それぞれの管轄へ申請することになります。
申請書は決まった書式で作ります。法務局の公式サイトでは、相続の類型ごとに「不動産登記の申請書様式」がWordやPDFで公開されており、記載例も添えられています。遺産分割協議によって一人が相続する場合、法定相続分どおりに相続する場合、遺言による場合で様式と添付書類が変わるため、自分のケースに合う様式をダウンロードして使います。手書きでもパソコン作成でもかまいませんが、記載例と見比べながら、不動産の表示(所在・地番・家屋番号・地積・床面積)を登記事項証明書のとおりに正確に書き写すことが最初の関門です。ここが実際の登記記録と一字でも食い違うと、後述の補正の対象になります。
手続きの順番——書類集めから提出、完了確認まで
必要書類がそろっていることを前提に、提出までの段取りを一つずつ進めます。詳しい書類の一覧は別記事に譲りますが、大まかな流れは次のとおりです。
| 順番 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | 対象不動産の管轄法務局を確認 | 「管轄のご案内」で所在地から特定。建物と土地で管轄が違うことがある |
| 2 | 登記事項証明書を取得し、不動産の表示を確認 | 申請書に書き写す情報の元。地番・家屋番号は住所とは異なる |
| 3 | ケースに合う申請書様式をダウンロードして作成 | 遺産分割・法定相続分・遺言で様式が異なる |
| 4 | 登録免許税を計算し、納付の準備 | 固定資産税評価額から算出(次章) |
| 5 | 申請書と添付書類を管轄法務局へ提出 | 窓口・郵送・オンラインのいずれか |
| 6 | 補正の連絡がないか確認し、完了後に登記識別情報を受領 | 不備があれば電話等で連絡が来る |
広告この記事の結論:ラクウル(相続不動産)
自分で申請してみて書類の不備や補正対応が負担に感じたら、相続の手続きを窓口にまとめて相談する方法もあります。
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提出の方法は三つあります。窓口へ持参する方法、郵送する方法、そして「登記・供託オンライン申請システム」を使うオンライン申請です。オンライン申請は可能ですが、電子署名や事前の利用者登録が必要で、初めての一件だけのために準備するとかえって手間になることがあります。自分で一度だけ行うなら、窓口持参か郵送が現実的です。窓口では、その場で職員に形式的な不備を指摘してもらえることがある一方、混雑や受付時間の制約があります。郵送は書留など記録の残る方法を使い、返信用の準備が要るかを様式の説明で確認します。
登録免許税の計算と、収入印紙・現金での納め方
相続登記には登録免許税(登記を受けるときに国へ納める税)がかかります。相続による所有権移転の税率は、固定資産税評価額 × 0.4%です。評価額は、市区町村が発行する固定資産評価証明書や、毎年届く固定資産税の課税明細書で確認できます。
計算例を示します。土地と建物の固定資産税評価額の合計が1,000万円であれば、1,000万円 × 0.4% = 40,000円が登録免許税です。評価額に1,000円未満の端数があるときは1,000円未満を切り捨てて課税標準とし、算出した税額に100円未満の端数があるときはこれを切り捨てます。なお、土地については、評価額が100万円以下のものは登録免許税が免税とされています(令和9年3月31日までの措置)。田舎の安い土地を相続したようなケースで負担が軽くなることがあります(2026年9月時点)。
納め方は主に二通りです。一つは収入印紙を購入し、申請書または専用の台紙(印紙貼付台紙)に貼り付けて納める方法です。もう一つは、金融機関の窓口で現金納付し、受け取った領収証書を台紙に貼って提出する方法です。印紙に消印を押してはいけない点、貼る位置は記載例に従う点に注意します。税額が少額であれば収入印紙が手軽で、多額になると現金納付が使われることが多いです。
共有名義で相続するときの持分の書き方
兄弟姉妹など複数人で一つの不動産を相続し、共有名義にする場合、申請書の書き方でつまずきやすいのが持分の記載です。単独で相続するときと違い、誰がどれだけの割合を持つのかを分数で明示します。
書き方の基本は、権利者(登記名義人になる相続人)ごとに「持分 ◯分の◯」を氏名の前に付けることです。たとえば兄弟二人で半分ずつ相続するなら、それぞれ「持分2分の1」と記載します。三人で均等に分けるなら「持分3分の1」を三人分並べます。均等でない場合、たとえば一人が半分、残り二人が4分の1ずつなら、「持分2分の1」「持分4分の1」「持分4分の1」と、合計が1になるように書きます。ここで各人の持分を足して全体(1、つまり◯分の◯なら分子の合計が分母)にならないと、登記記録が完結せず補正になります。
持分を決める根拠も添付書類とそろえます。法定相続分どおりなら戸籍で相続人と割合が確認でき、割合を変えるなら遺産分割協議書に「甲が持分2分の1、乙が持分4分の1……を取得する」と、申請書と同じ割合で書いておく必要があります。協議書の割合と申請書の持分が食い違うと通りません。共有は手続きとしては可能ですが、後で売却するときに共有者全員の同意が要るなど、その後の空き家の処分でひと手間増える点は、名義を決める段階で意識しておくと安全です。
補正の連絡が来たときの対応
提出後、記載や添付書類に不備があると、法務局から補正(ほせい)の連絡が入ります。多くは担当者からの電話で、「ここの記載を直してほしい」「この書類が足りない」といった内容です。自分で申請する場合、この補正が一番起きやすい段階なので、申請時に日中つながる連絡先を必ず書いておきます。
補正の典型例は、不動産の表示が登記記録と違う、持分の合計が合わない、押印や添付書類の漏れ、登録免許税の額の誤りなどです。指摘された内容を直し、決められた期間内に法務局へ補正に行くか、追加書類を送ることで手続きは進みます。軽微な訂正で済むことが多いので、連絡が来ても慌てる必要はありませんが、放置して補正期間を過ぎると申請が却下されることがあります。窓口申請なら、その場で形式的な点を確認してもらえるぶん補正が減る利点があります。
登記が完了すると、登記識別情報(かつての権利証にあたるもの)が交付されます。受領後は念のため登記事項証明書を取り直して、名義や持分が申請どおりになっているかを確認します。
自分でやるか、司法書士に頼むかの分かれ目

相続登記は令和6年4月1日から義務化され、不動産の取得を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象になります(2026年9月時点)。期限があるからこそ、自分でやるか任せるかは早めに見極めたいところです。次の条件で判断してください。
- 相続人が確定し、遺産分割で争いがない → 自分でやりやすい
- 対象が一つの市区町村内の不動産に収まる → 自分でやりやすい
- 相続人が多い、疎遠、代襲相続や数次相続がからむ → 専門家向き
- 複数の管轄にまたがる、被相続人名義でない古い登記が残っている → 専門家向き
- 平日に法務局へ足を運ぶ時間が取りにくい → 郵送・オンラインで工夫するか専門家向き
費用を抑えたいという動機は理解できますが、書類の取り寄せに戸籍を何通も集める必要がある複雑なケースでは、自分でやる時間と労力が司法書士への報酬を上回ることもあります。名義を変えた先で家をどう扱うか(売る、貸す、解体する)まで含めて考えると、手続きの入口でつまずかないことが大切です。売却まで見据えるなら、空き家 売却の進め方もあわせて確認しておくと、名義変更の後に何が待っているかが見通せます。
よくある質問
相続登記は本当に自分でできますか。
相続人が確定していて争いがなく、対象不動産が一つの管轄に収まるような単純なケースであれば、法務局が公開する申請書様式と記載例を使って自分で申請することは十分可能です。相続人が多い、複数の管轄にまたがるといった複雑なケースでは、司法書士に依頼するほうが安全です。
登録免許税はいくらかかりますか。
相続による所有権移転の場合、固定資産税評価額の0.4%です。評価額の合計が1,000万円なら40,000円が目安になります。土地で評価額が100万円以下のものは、令和9年3月31日まで免税とされています(2026年9月時点)。
登録免許税はどうやって納めますか。
収入印紙を購入して申請書または台紙に貼り付ける方法と、金融機関で現金納付して領収証書を貼る方法があります。少額なら収入印紙、多額なら現金納付が使われることが多いです。印紙に消印は押しません。
兄弟で共有名義にするとき、持分はどう書きますか。
各相続人の氏名の前に「持分◯分の◯」を付け、全員の持分を合計して全体になるように書きます。二人で半分ずつなら「持分2分の1」を二人分、三人均等なら「持分3分の1」を三人分です。遺産分割協議書の割合と一致させる必要があります。
提出した後に間違いが見つかったらどうなりますか。
法務局から補正の連絡(多くは電話)が入り、記載の訂正や不足書類の追加を求められます。指定された期間内に対応すれば手続きは進みます。連絡が取りやすいよう、申請書には日中つながる電話番号を書いておきます。
相続登記に期限はありますか。
令和6年4月1日から義務化され、不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請する必要があります。正当な理由なく怠った場合は10万円以下の過料の対象です。すぐに遺産分割がまとまらないときは、相続人申告登記でひとまず義務を果たす方法もあります。
参考・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.7191「登録免許税の税額表」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
- 法務省「相続登記の申請義務化について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

