空き家とは 定義|国が数える空き家の範囲

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親から受け継いだ家に誰も住まなくなって半年、市の広報で「空き家対策」という言葉を見かけて、自分の家もそこに数えられているのか気になった。あるいは、賃貸に出して入居者を募集している部屋が「全国の空き家900万戸」に含まれると聞いて戸惑った。こうした場面でつまずくのは、「空き家」という言葉が一つの意味に定まっていないからです。

結論から言うと、日常で使う「空き家」には、国が5年ごとに数える統計上の空き家と、空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)が対象にする法律上の「空家等」の2つがあり、範囲が異なります。税金が上がる、行政から指導が来るといった話に関わるのは後者で、統計に数えられただけでは何も起きません。まず自分の家がどちらの意味で「空き家」なのかを切り分けることが、次の判断の出発点になります。

空き家とは何か、定義は2つに分かれる

「空き家」という一語には、統計の言葉と法律の言葉が同居しています。片方は国が住宅の総数を把握するために数える対象で、もう片方は行政が周辺への悪影響を防ぐために働きかける対象です。目的が違うので、当てはまる建物の範囲も判定する人も違います。

次の表は、両者の違いを観点ごとに並べたものです。ニュースで「空き家」を目にしたときは、どちらの文脈かをこの表で確かめると混乱が減ります。

観点 統計上の空き家 法律上の「空家等」
根拠 住宅・土地統計調査(総務省) 空家等対策の推進に関する特別措置法 第2条
定義の要点 調査時点で人が住んでいない住宅(賃貸・売却の募集中や別荘を含む) 居住その他の使用がなされていないことが常態である建築物と、その敷地
数える主体 国が5年ごとに全国を調査 市町村が個別の建物ごとに判断
賃貸募集中の部屋 数える(賃貸用が最も多い) 使用の実態で判断し、必ずしも該当しない
直接の影響 課税や規制には直結しない 指導・勧告や税の特例解除などにつながりうる

統計上の空き家:住宅・土地統計調査が数える範囲

統計上の空き家は、総務省の住宅・土地統計調査が5年ごとに数えるものです。ここでの空き家は「調査の時点で人が住んでいない住宅」を広くとらえ、売りに出している家や賃貸募集中の部屋、たまに使う別荘まで含みます。編集メモの核心もここにあり、入居者を探している空き部屋も統計の上では空き家に数えられます。

2023年10月1日現在の調査では、総住宅数6,504万7千戸に対して空き家は900万2千戸、空き家率は13.8%で、いずれも過去最多・過去最高でした(1993年からの30年間で約2倍)。この900万2千戸の中身を分けると、次のようになります。

区分 割合 戸数
賃貸用の住宅 49.3% 443万6千戸
売却用の住宅 3.6% 32万6千戸
二次的住宅(別荘など) 4.3% 38万4千戸
それ以外(上記3つを除く空き家) 42.8% 385万6千戸

約半分が賃貸用であることが分かります。つまり「空き家が900万戸」という数字には、入居者を募集している部屋が大きく含まれており、放置された家だけを指しているわけではありません。世間で問題にされる「管理されず傷んでいく家」に近いのは、賃貸用・売却用・二次的住宅を除いた385万6千戸(総住宅数の5.9%)のほうです。一戸建てに限ると、その空き家352万3千戸のうち約8割がこの区分に当たり、放置されやすい傾向が見えます(2023年調査・総務省)。

法律上の「空家等」:空家法2条の定義

もう一方の「空家等」は、空家法の第2条が定める言葉です。国土交通省が所管するこの法律では、空家等を「建築物又はこれに附属する工作物であって居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」と定義しています(国・地方公共団体が所有するものは除きます)。

ポイントは「常態」という言葉です。一時的に留守にしているだけでは足りず、居住や使用がされていない状態が続いていることが前提になります。国土交通省の運用では、おおむね1年を通じて使われていないことが一つの目安とされています。だからこそ、賃貸募集中で今まさに使い始める見込みがある部屋は、統計では空き家でも、法律の「空家等」に当たるとは限らないのです。定義の当てはめは市町村が建物ごとに行います。

特定空家・管理不全空家との違い

「空家等」の中でも、周辺に迷惑が及ぶ状態になると呼び名が変わります。適切な管理がされず、放置すればいずれ危険な状態になりそうな建物は「管理不全空家等」、すでに倒壊のおそれや著しい衛生・景観上の問題がある建物は「特定空家等」と呼ばれ、行政の働きかけの対象になります。これらに指定され勧告を受けると、住宅用地の固定資産税の特例が外れる場合があります。

ここでは用語の位置づけを押さえるにとどめます。指定後に何が起きるか、勧告で税の特例が外れる条件といった具体的な流れは、それぞれ特定空き家とはや空家法の改正を扱う別記事で詳しく整理しています。本記事の役目は、その手前で「統計の空き家」「法律の空家等」「特定空家等」を混ぜずに区別できるようにすることです。

あなたの家はどの「空き家」に当たるか

自分の家がどの意味の空き家かは、次の順で確かめると整理しやすくなります。

  1. 今その家に人が生活の拠点として住んでいるか。住んでいなければ、統計上の空き家に数えられる住宅に当たります。
  2. 賃貸や売却の募集をしているか、別荘として時々使っているか。当てはまれば、統計では空き家でも、放置系の空き家とは区別されます。
  3. 使われない状態が1年前後にわたり続き、募集も使用の予定もないか。当てはまると、法律の「空家等」に近づきます。
  4. 庭木や外壁が傷み、近隣に影響が出始めているか。ここまで進むと、市町村から管理不全空家等・特定空家等として働きかけを受ける可能性が出てきます。

1や2の段階であれば、まだ選択肢は広く残っています。使わないまま持ち続けると管理の手間や費用がかかり続けるため、早めに売却の道筋を考える価値があります。仲介と買取で手取りや期間がどう違うかは、空き家 売却の進め方で費用と流れを一つの表にまとめています。定義を確かめたうえで、次に何をするかを決める材料にしてください。

よくある質問

賃貸で募集中の空き部屋も空き家に数えられますか

統計上は数えられます。住宅・土地統計調査では賃貸用の住宅も空き家に含み、2023年調査では空き家全体の49.3%(443万6千戸)を占めます。ただし法律の「空家等」に当たるかは別で、使用の実態で市町村が判断します。

別荘やセカンドハウスは空き家ですか

住宅・土地統計調査では「二次的住宅」として空き家に含まれ、2023年調査で4.3%(38万4千戸)です。日常的に人が住んでいないためですが、時々使っている以上、放置された家とは区別して集計されています。

統計の空き家に数えられると税金は上がりますか

数えられただけでは上がりません。統計は住宅の総数を把握するための調査で、課税や規制に直接つながるものではありません。税に関わるのは、市町村が「空家等」として勧告などを行った場合です。

家財が残っていても空き家ですか

人が生活の拠点として住んでいなければ、統計上は空き家に数えられます。法律の判断では、家財の有無だけでなく、居住その他の使用がなされていない状態が常態かどうかで見られます。

空き家率13.8%はどう計算した数字ですか

2023年10月1日現在の総住宅数6,504万7千戸に対する空き家900万2千戸の割合です(総務省・住宅・土地統計調査)。2018年の13.6%から0.2ポイント上昇し、過去最高となりました。

「空家等」に指定されると何が起きますか

市町村が状態に応じて助言・指導や勧告を行い、勧告を受けた敷地は固定資産税の住宅用地特例が外れる場合があります。具体的な段階や条件は、特定空き家や空家法を扱う別記事で確認してください。

参考・出典

  • 総務省 令和5年住宅・土地統計調査 住宅及び世帯に関する基本集計(確報集計)結果 概要 https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf
  • 空家等対策の推進に関する特別措置法 第2条・第13条・第22条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC1000000127
  • 国土交通省 改正空家法の概要 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001621960.pdf
  • 国土交通省 空家等対策特別措置法 関連情報 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html
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