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横浜市内に、親から相続した古い木造の空き家をお持ちの方から、「解体したいが費用が重く、市に補助金があると聞いた。うちの家は対象になるのか」という相談が増えています。特に、昭和や平成初期に建てられた戸建てを抱え、固定資産税と管理の手間だけがかかり続けている状況で、解体の一歩を踏み出せずにいる方が多いようです。
横浜市の住宅除却補助制度で押さえるべき点は、ひとつに絞れます。それは「その家が耐震性の低い(倒壊の危険性がある)建物と判断されるか」です。この判断を満たしたうえで、建てられた時期が昭和56年5月末以前(旧耐震)か、その後から平成12年5月末以前(新耐震)かで、受け取れる上限額が分かれます。さらにこの制度は、申請の受付期間と工事完了報告の期限が年度ごとに明記されているため、解体に着手する前に申請するという順番を外すと補助を受けられません。以下で条件と金額、そして日程を具体的に見ていきます。
横浜市の住宅除却補助制度で「空き家の解体」に補助金が出る条件

横浜市の住宅除却補助制度(正式には耐震関連の除却補助)は、地震に弱い古い木造住宅を取り壊して危険を減らすことを目的にした制度です。そのため、単に「古い空き家だから」という理由だけでは対象になりません。横浜市が公式に示している対象は、次の2点を両方満たす建築物です(2026年9月時点・公式サイト確認)。
- 平成12年5月末日以前に新築の工事に着手した建築物であること。平成12年6月以降に着工した比較的新しい家は対象外です。
- 耐震性が低い(倒壊の危険性がある)と判断された木造住宅等であること。
ここで重要なのは、対象が「木造住宅等」で、かつ耐震性の判断が前提になっている点です。空き家であっても、耐震性が確認できていない、あるいは耐震性を満たしている建物は、この制度では補助の対象にならない場合があります。まずは「いつ着工した家か」と「耐震性の判断を受けられるか」の2つを確認することが出発点になります。
補助額は旧耐震か新耐震かで上限が分かれる
横浜市の除却補助は、耐震基準の区分によって上限額が変わります。昭和56年5月末以前に着工した「旧耐震」の建物と、昭和56年6月以降から平成12年5月末以前に着工した「新耐震」の建物とで、次のように分かれます。
| 区分(着工時期) | 世帯 | 補助の上限額 |
|---|---|---|
| 旧耐震(昭和56年5月末以前) | ― | 上限50万円 |
| 新耐震(昭和56年6月〜平成12年5月末) | 一般世帯 | 上限20万円 |
| 新耐震(同上) | 非課税世帯 | 上限40万円 |
広告この記事の結論:解体工事110番
横浜市の補助上限は旧耐震で50万円、新耐震で20万〜40万円ですが、補助を差し引く前の解体費用そのものは無料見積もりで確認できます。
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新耐震の区分では、住民税非課税世帯かどうかで20万円と40万円に分かれます。旧耐震のほうが上限が高いのは、より地震に弱く危険度が高いと位置づけられているためと考えられます。
実際に受け取れる額は「3つのうち最も低い額」
上の表の金額は上限であり、そのまま満額が出るわけではありません。横浜市の補助額は、次の3つを比べていちばん低い額に決まります。
- 区分ごとの上限額(旧耐震50万円、新耐震20万円・40万円)
- 面積限度額(旧耐震のみ)=21,800円 × 延床面積(㎡) × 1/3
- 実際の解体工事にかかる費用
例として、旧耐震の木造住宅で延床面積を100㎡と仮定すると、面積限度額は 21,800円 × 100 × 1/3 = 約72.6万円と計算されます。この場合、区分上限の50万円のほうが低いため、比較の候補は「50万円」と「実際の工事費」になります。解体工事費が50万円を上回るなら補助は上限の50万円まで、工事費が50万円未満ならその工事費の額まで、という形で決まります。延床面積が小さい家では面積限度額のほうが低くなることもあるため、自分の家の延床面積で一度計算しておくと、受け取れる目安がつかめます。
耐震性が低いとどう判断されるのか

この制度の入口は「耐震性が低い(倒壊の危険性がある)と判断されること」です。判断は自己申告ではなく、木造住宅の耐震診断を通じて行われます。診断の結果、地震で倒壊する危険性があると評価された建物が、除却補助の対象になります。
そのため、実際の流れは「耐震診断を受ける → 危険と判断される → 除却補助を申請する」という順番になります。診断の申し込み方法や、どの数値でどう判定するかといった具体的な基準は、横浜市の担当課で確認するのが確実です。問い合わせ先は、横浜市建築局建築防災課の耐震事業担当(電話 045-671-2943)です。自分の家が診断の対象になるか、診断から除却補助までをどう進めるかを、着手前にこの窓口で相談しておくと、要件の取りこぼしを防げます。
申請は解体の着手前|受付期間と完了報告の期限
補助金の制度は、そのほとんどが「工事に着手する前に申請する」ことを原則にしています。横浜市の除却補助も同じで、しかもこの制度は受付期間と完了報告の期限が年度ごとに明記されているのが特徴です。令和8年度の日程は次のとおりです(2026年9月時点・公式サイト確認)。
- 申請受付期間: 令和8年4月1日から令和8年12月28日まで
- 工事完了・完了報告書の提出: 令和9年2月末まで
この2つの日付から、動ける順番は決まってきます。条件と結論の形で整理すると、次のようになります。
- 解体をすでに始めてしまった → 着手前申請の原則を外れ、補助の対象外になるおそれ。先に申請が鉄則。
- 12月28日を過ぎてから申請しようとした → その年度の受付が終了。翌年度の受付開始(例年4月1日)を待つ。
- 申請は間に合ったが、工事や完了報告が2月末に間に合わない → 補助を受けられないおそれ。逆算して解体業者を早めに手配する。
つまり、耐震診断・申請・解体工事・完了報告という一連の作業を、4月から2月末までの1年度の中に収める必要があります。年末近くに申請すると完了報告までの時間が足りなくなりやすいため、年度の前半に相談と申請を済ませ、余裕をもって工事に入るのが安全です。受付期間や上限額は年度ごとに見直される場合があるため、着手する年度の内容を必ず横浜市の最新ページで確認してください。
解体して更地にする前に考えたいこと

補助を使っても、解体費の全額が賄えるわけではなく、多くの場合は自己負担が残ります。解体費そのものは、建物の構造・延床面積・重機が入れる立地か・残置物の量などで変わるため、複数の業者から見積りを取って比べることが欠かせません。
また、更地にするかどうかは、その後の使い道とあわせて考える必要があります。土地を国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度は、建物があると申請できず解体が前提になりますが、更地にしても審査手数料や負担金がかかります。一方で、耐震性が低く古い家でも、そのままの状態で買い取ってもらえる場合があります。解体してから売るか、解体せずに手放すかは、手取り額と手間が大きく変わるところです。売却の方法ごとの違いは、仲介と買取で手取りや期間がどう違うかを整理した記事もあわせてご確認ください。
よくある質問
新耐震の家でも補助を受けられますか。
受けられる場合があります。昭和56年6月以降から平成12年5月末以前に着工した木造住宅で、耐震性が低いと判断されれば、新耐震の区分として一般世帯は上限20万円、住民税非課税世帯は上限40万円が対象です。旧耐震より上限は低くなります。
申請の前に解体を始めてしまったら補助は使えませんか。
補助金は着手前の申請が原則のため、先に工事を始めると対象外になるおそれがあります。令和8年度は令和8年4月1日から12月28日までが受付で、工事完了と完了報告書の提出は令和9年2月末までです。着工前に横浜市へ相談し、申請を済ませてから工事に入ってください。
補助額はどうやって決まりますか。
区分ごとの上限額、面積限度額(旧耐震のみ、21,800円×延床面積×1/3)、実際の解体工事費の3つを比べ、いちばん低い額に決まります。上限額がそのまま満額出るわけではないため、延床面積と工事費の見積りで目安を計算しておくと安心です。
平成12年6月以降に着工した家は対象になりますか。
この制度の対象は「平成12年5月末日以前に新築の工事に着手した建築物」です。平成12年6月以降に着工した比較的新しい家は、原則として対象外になります。着工時期は登記や建築時の書類で確認できます。
耐震性が低いかどうかは誰が判断しますか。
自己申告ではなく、木造住宅の耐震診断を通じて判断されます。診断で倒壊の危険性があると評価された建物が対象です。診断の申し込みや判定の基準は、横浜市建築局建築防災課耐震事業担当(045-671-2943)で確認できます。
補助金を使えば解体費は全額まかなえますか。
上限があるため、多くの場合は自己負担が残ります。解体費は構造・延床面積・立地・残置物で変わるので、複数の見積りを取って比べたうえで、補助上限との差額を見込んでおくことをおすすめします。
参考・出典
- 横浜市 住宅除却補助制度(木造住宅の除却): https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/bosai/taishin/hojokinshienseido/mokutai/jyuutakujyokyaku.html
- 横浜市 空家を手放したい方へ(解体): https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/sien/akiya/kaitai.html
- 法務省 相続土地国庫帰属制度: https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00457.html
- 国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法の改正概要: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001621960.pdf

