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親が住んでいた家を相続したものの、名義が親のままで止まっている。売るにも貸すにも、まず自分名義に変える「相続登記」(相続した不動産の所有者を法務局の記録上で変更する手続き)が要ると言われ、司法書士に頼むといくらかかるのか、自分でやれば安く済むのか判断がつかない。そんな場面で迷う方は少なくありません。
結論から言うと、名義変更にかかるお金は「登録免許税」と「司法書士報酬」の二階建てで、選ぶ基準はこの二つを分けて考えることに尽きます。登録免許税は法律で決まっていて誰が手続きしても同じ額です。差が出るのは司法書士報酬(依頼したときの手数料)と、自分で動く場合にかかる時間と手間の部分だけです。だからこそ「相続人が何人いるか」「遠方か」「相続が二重になっていないか」で、頼むか自分でやるかが分かれます。
不動産の名義変更費用は「登録免許税+司法書士報酬」の二階建て

相続登記でかかるお金を大きく分けると、法務局に納める税金である登録免許税と、手続きを代わりにやってもらう司法書士報酬の二つになります。まずこの二つが別物であることを押さえると、見積書の読み方も、自分でやるかの判断もしやすくなります。
登録免許税は誰が手続きしても同じ(計算例)
相続による所有権移転登記の登録免許税は、固定資産税評価額×0.4%です(国税庁 タックスアンサー No.7191)。この評価額は、毎年市区町村から届く固定資産税の課税明細書や、市区町村で取れる評価証明書に載っている金額を使います。
たとえば土地の固定資産税評価額が600万円、建物が200万円の空き家であれば、合計800万円×0.4%=3万2千円が登録免許税です。この額は、司法書士に頼んでも自分で申請しても変わりません。手続きを誰がやるかで動く数字ではないので、比較のときは「固定で必ずかかるもの」と考えて問題ありません。
なお、土地の価額が100万円以下の場合は登録免許税が免税になります(令和9年3月31日まで)。評価額の低い田舎の土地では、この免税に当たることもあります。
司法書士報酬は事務所ごとに違う
司法書士報酬には、登録免許税のような法律で決まった一律の金額がありません。かつては報酬基準がありましたが現在は自由化されていて、公的な相場統計も存在しないため、事務所ごと・案件の難しさごとに違うのが実情です。したがってここで「相場は◯万円」と断定することはできません。金額は必ず、依頼を検討している事務所から見積りを取って確かめてください。
報酬の中身は、主に次のような作業への手数料で構成されます。
- 登記申請書の作成と法務局への申請代理
- 戸籍謄本・除籍謄本・住民票などの取得代行
- 相続関係説明図(誰が相続人かを示す図)の作成
- 遺産分割協議書(誰がどの財産を取得するか決めた書面)の作成
- 法定相続情報一覧図の取得代行
これらは手続きの中身が増えるほど作業量が増えるため、報酬も上下します。見積りを比べるときは、金額の総額だけでなく「どこまでの作業が含まれているか」を必ず確認してください。
自分でやる場合と司法書士に頼む場合の違い
同じ相続登記でも、自分でやるか司法書士に頼むかで、かかるお金と手間の内訳が変わります。整理すると次のようになります。
| 項目 | 自分でやる場合 | 司法書士に頼む場合 |
|---|---|---|
| 登録免許税 | 評価額×0.4%(同じ) | 評価額×0.4%(同じ) |
| 司法書士報酬 | かからない | かかる(事務所ごとに異なる) |
| 戸籍などの取得 | 自分で各市区町村へ請求(実費+交通・郵送費) | 取得代行を頼める(実費+手数料) |
| 書類作成 | 申請書・協議図などを自分で作成 | 専門家が作成 |
| 時間・手間 | 平日の法務局訪問・書類集めに相応の時間 | 大幅に減る |
| 間違いのリスク | 不備で補正・出直しの可能性 | 専門家が確認 |
広告この記事の結論:ラクウル(相続不動産)
相続人が多い・遠方・数次相続など複雑なケースは、司法書士に依頼するか迷う前に相続の窓口へまとめて相談する方法もあります。
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表のとおり、登録免許税と実費(戸籍1通あたりの発行手数料など)はどちらの道でもかかります。違いは報酬の有無と、自分が費やす時間・手間です。「安く済ませたい」だけでなく「その時間と手間を自分でかけられるか」で見ると、判断がぶれにくくなります。
頼むか自分でやるか、この条件で分かれる

報酬を払ってでも頼むべきか、自分で動けるかは、相続の複雑さで分かれます。次の条件で当てはめてみてください。
自分でやりやすいケース
- 相続人が少なく(配偶者と子だけなど)、全員が把握できている
- 相続人全員が近くにいて、遺産分割の合意がすでに取れている
- 対象の不動産が1〜2件で、同じ市区町村内にある
- 平日に法務局や役所へ出向ける時間が取れる
この条件がそろっていれば、戸籍集めと申請書作成の負担は限定的です。法務局には登記相談の窓口もあるため、自分で進める余地があります。
司法書士に頼んだほうがよいケース
- 相続人が多い:兄弟姉妹が多い、代襲相続(本来の相続人が先に亡くなり子や孫が相続する)が起きているなど、集める戸籍が一気に増える
- 相続人が遠方・疎遠:連絡や書類のやり取りに時間がかかり、自分だけでは進めにくい
- 数次相続:名義変更しないうちに次の相続が起きて、相続関係が二重・三重になっている
- 不動産が複数の市区町村にまたがっている
- 相続登記の期限(後述)が迫っていて、確実に間に合わせたい
編集メモに沿って言い換えると、相続人が多い・遠方・数次相続のいずれかに当てはまるなら、報酬を払ってでも頼むほうが結果的に楽で確実です。集める戸籍が数十通に及ぶこともあり、一つでも欠けると法務局で受け付けてもらえないためです。
相続登記は3年以内の義務になっている
名義変更を先延ばしにできないのは、相続登記が2024年(令和6年)4月1日から義務になったためです。「自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内」に申請する必要があり、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料(行政上の金銭的なペナルティ)の対象になります(法務省)。
施行前に発生していた相続で名義が止まっているものも対象で、この場合は令和9年3月31日までが期限の目安です。期限が近い、あるいは相続関係が複雑で自分では間に合わせられそうにないときは、早めに司法書士へ相談するのが安全です。名義を変えたあと売却まで考えている場合は、空き家 売却の進め方(仲介と買取の違い)もあわせて確認しておくと、手続きの順番を組み立てやすくなります。
見積りを取るときに確認したい費目

司法書士に依頼するかを決める前に、複数の事務所から見積りを取って中身を比べることをおすすめします。総額だけを見ると判断を誤りやすいため、次の点を確認してください。
- 報酬に戸籍などの取得代行が含まれているか、別料金か
- 遺産分割協議書の作成が報酬に含まれるか
- 不動産が複数ある場合の加算があるか
- 登録免許税・戸籍発行手数料などの実費が別で提示されているか
- 相続人が遠方の場合の郵送・出張費の扱い
登録免許税は誰に頼んでも同じなので、見積りの差はほぼ報酬と作業範囲の差です。ここを分けて見ると、金額の高い・安いの理由が見えてきます。
よくある質問
相続登記を自分でやると登録免許税は安くなりますか
安くなりません。登録免許税は固定資産税評価額×0.4%で法律上決まっており、自分で申請しても司法書士に頼んでも同じ額です。自分でやって減るのは司法書士報酬の部分だけです。
司法書士報酬の相場はいくらですか
公的な相場統計がなく、事務所ごと・案件の難しさごとに異なるため、一律の金額は示せません。相続人の人数や不動産の数、戸籍取得を代行するかで変わります。実際の金額は複数の事務所から見積りを取って比べてください。
登録免許税がかからない場合はありますか
土地の価額が100万円以下の場合は登録免許税が免税になります(令和9年3月31日まで)。評価額の低い土地ではこの免税に当たることがあります。建物や、100万円を超える土地には通常どおり0.4%がかかります。
数次相続だと手続きは難しくなりますか
名義変更しないうちに次の相続が起きた数次相続では、相続関係が二重・三重になり、集める戸籍と登記の組み立てが複雑になります。自分だけで進めるのは負担が大きいため、司法書士に依頼するほうが確実です。
相続登記をしないとどうなりますか
2024年4月から相続登記は義務化され、取得を知った日から3年以内に申請しないと、正当な理由がなければ10万円以下の過料の対象になります。施行前の相続で未登記のものも令和9年3月31日までが目安です。
名義変更の前に売却は進められますか
売買で買主へ名義を移す前提として、まず相続人へ名義を移す相続登記が必要です。売却を急ぐ場合ほど、登記と売却の段取りを並行して考えると時間の無駄が減ります。
参考・出典
- 国税庁 タックスアンサー No.7191(相続登記の登録免許税・固定資産税評価額×0.4%・土地100万円以下は免税) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7191.htm
- 法務省 相続登記の申請義務化(令和6年4月1日施行・3年以内・10万円以下の過料) https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html

