本記事にはプロモーション(PR)が含まれます。
相続した実家が空き家のまま残り、「リフォームして貸すか、観光地に近いから民泊にするか、いっそ売ってしまうか」で手が止まっている。よくある迷いです。総務省の令和5年住宅・土地統計調査では全国の空き家は900万2千戸、空き家率13.8%と過去最高で、賃貸・売却用や別荘を除いた「放置されがちな空き家」だけで385万6千戸(総住宅数の5.9%)にのぼります。一戸建の空き家の約8割がこの放置系で、活用の判断を先送りにした家の多さがうかがえます。
結論から言えば、賃貸・民泊・売却の3つは「向いている物件」も「お金が入る形」もまったく違うため、収入の大小だけで選ぶと失敗します。選ぶ基準は次の3つです。①立地が生活需要か観光需要か(人が住みたい場所か、泊まりたい場所か)、②手元に現金がいつ必要か(毎月の収入か、一度きりのまとまった手取りか)、③管理の手間をどこまで負えるか。この3点を先に決めてから、費用と税金の構造で絞り込みます。
賃貸・民泊・売却を収支の「形」で並べる

3つの方法は、初期費用のかかり方・収入の性質・税金・規制がそれぞれ異なります。物件ごとに賃料や宿泊料は変わるため具体的な収入額は断定できませんが、判断に効く構造は次の表のとおりです。
| 比較軸 | 賃貸で貸す | 民泊にする | 売却する |
|---|---|---|---|
| 収入の性質 | 毎月の家賃(継続) | 宿泊料(稼働日数に依存) | 一度きりの売却代金 |
| 初期費用の主体 | リフォーム・原状回復費(DIY型なら軽減可) | 設備・消防対応・届出、管理委託料 | 解体費や残置物処分(更地にする場合) |
| 主な規制 | 賃貸借契約・借主保護 | 年間提供日数の上限180日・届出制 | 特になし(税と手続き) |
| 税金の中心 | 不動産所得(家賃に課税) | 宿泊事業の所得に課税 | 譲渡所得(売却益に課税) |
| 所有し続けるか | 持ち続ける(固定資産税は継続) | 持ち続ける(同上) | 手放す(維持費から解放) |
| 向く物件 | 生活需要のある立地・住める状態 | 観光地・都市部で稼働が見込める | 需要が薄い・管理が続かない |
持ち続ける賃貸・民泊は毎月の収入が期待できる反面、空き家を放置して市町村長から勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例(200㎡以下の部分で課税標準を6分の1にする軽減)が外れ、税負担が増える点に注意が必要です。売却は維持費から解放される一方で、収入は一度きりになります。
賃貸で貸す:DIY型賃貸借と仲介手数料の特例
「直す費用は出せないが貸したい」という空き家に向くのが、国交省が契約書式例を公表しているDIY型賃貸借(借主の意向を反映して住宅の改修を行える賃貸借契約)です。改修範囲と退去時の原状回復の要否を契約前に取り決めることで、貸主がリフォーム費用を先に負担せずに貸し出せます。
貸すときの仲介手数料にも空き家向けの特例があります。長期間使われていない「長期の空家等」を貸す場合、貸主・借主双方から受ける報酬の合計は借賃1か月分の2.2倍まで認められます(通常の貸借は双方合計で1か月分の1.1倍以内、居住用は一方0.55倍が原則)。改修費と手数料を抑えられるかが、賃貸の収支を左右します。
民泊にする:180日上限と届出のハードル

観光地や都市部の空き家では民泊(住宅宿泊事業法にもとづく宿泊事業)が選択肢になります。ただし収支の前提として、年間提供日数の上限は180日で、地域の条例でさらに制限される場合があります。つまり残り185日は宿泊事業として貸せないため、稼働日数の上限が収入の天井になります。
手続きは都道府県知事等への届出制で、所有者が現地に住んでいない「家主不在型」では住宅宿泊管理業者への委託が義務づけられます。委託料は継続的な費用になるため、稼働見込みと管理コストを差し引いて成り立つ立地かどうかが判断の分かれ目です。生活需要はあるが観光需要が薄い立地なら、民泊より賃貸が向きます。
売却する:手取りに効く税金と控除
「管理が続かない」「需要が薄い」空き家は、売却して維持費と管理責任から解放されるのが現実的です。売却で最も手取りを左右するのが譲渡所得(売った金額から取得費と譲渡費用を差し引いた利益)にかかる税金です。
税率は所有期間で大きく変わります。売った年の1月1日で所有期間が5年を超える長期譲渡は所得税15%・住民税5%に復興特別所得税(基準所得税額の2.1%)が加わり、合計20.315%(計算値)。5年以下の短期譲渡は所得税30%・住民税9%+復興特別所得税で合計39.63%(計算値)と、ほぼ倍の差になります。相続で取得した空き家は被相続人の取得日を引き継ぐため、多くは長期に該当します。
相続した空き家には強力な特例もあります。昭和56年5月31日以前に建築された被相続人の居住用家屋などを、相続開始の日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに、売却代金1億円以下で売るなど一定の要件を満たすと、譲渡所得から最高3,000万円を控除できます(適用は令和9年12月31日までの譲渡)。取得費が分からない場合は売った金額の5%を概算取得費にできます。売却の手取り計算や仲介と買取の違いは、空き家 売却の進め方|仲介と買取で手取りと期間はここが違うで数字を追って確認してください。
売買の仲介手数料は上限が決まっており、1,000万円の物件なら「200万円×5.5%+200万円×4.4%+残り600万円×3.3%=上限39.6万円(税込)」です。売買代金が800万円以下の「低廉な空家等」は特例で上限33万円(税込)まで、と定められています。いずれも2026年9月時点の国交省告示・公式資料にもとづく数値です。
広告この記事の結論:ラクウル(空き家買取)
維持費と管理から解放されたい、まとまった現金が必要なら売却が向くと本文にあります。その場で査定額がわかる買取専門店なら、手取りの目安をすぐ確認できます。
広告です。査定金額や対応エリアは公式でご確認ください。
![]()
どれを選ぶかの判断フロー

迷ったら、次の条件を上から順にあてはめてください。
- 住める状態か:大規模な修繕が必要で費用も出せないなら、賃貸・民泊は初期費用が重い。売却または引き取り手探しへ。
- 立地は観光需要か生活需要か:観光地・都市部で稼働が見込めるなら民泊を検討。生活需要中心なら賃貸が安定。
- 毎月の収入が要るか、一度の手取りが要るか:継続収入と資産保有を望むなら賃貸・民泊。維持費と管理から解放されたい、まとまった現金が要るなら売却。
- 相続から3年以内か:3,000万円控除の期限内で、昭和56年5月以前の家屋などの要件に当てはまるなら、売却の税メリットが大きい。期限を過ぎる前に判断する。
賃貸と民泊は「持ち続けて活用する」道、売却は「手放して清算する」道です。どちらが得かではなく、自分の状況(現金の必要時期・管理の余力・立地)に合うかで選ぶのが失敗しないコツです。まず全国版空き家・空き地バンク(国交省の事業で株式会社LIFULLとアットホーム株式会社が運営)に登録して需要を見つつ、売却時の手取りも並行して査定してみると、3つの収支を実額で比べられます。
よくある質問
民泊は年間何日まで営業できますか
住宅宿泊事業法にもとづく民泊は、年間提供日数の上限が180日です。地域の条例でさらに短く制限される場合があるため、届出前に対象エリアの条例を確認してください。上限があるぶん、稼働日数が収入の天井になります。
リフォーム費用がなくても貸せますか
DIY型賃貸借を使えば、借主の意向で改修を行える契約にでき、貸主が先に大きなリフォーム費を負担せずに貸し出せます。改修範囲と退去時の原状回復の要否を契約前に取り決めておくことが前提です。
賃貸と売却では税金の種類が違いますか
違います。賃貸は毎月の家賃が不動産所得として課税され、売却は売却益が譲渡所得として課税されます。譲渡所得は所有期間5年超で合計20.315%、5年以下で合計39.63%(いずれも復興特別所得税を含む計算値)と税率が変わります。
相続した空き家を売ると3,000万円の控除は必ず使えますか
必ずではありません。昭和56年5月31日以前の建築、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までの売却、売却代金1億円以下など複数の要件を満たす必要があります。適用には確定申告と市区町村長が交付する確認書が必要です。要件は個別の物件で異なるため、税務署や税理士に確認してください。
空き家を放置したまま活用を決めないと何か不利益がありますか
管理が行き届かず市町村長から勧告を受けると、固定資産税の住宅用地特例(200㎡以下の部分で課税標準を6分の1にする軽減)が外れ、税負担が増える可能性があります。活用・売却いずれにせよ、判断を先送りにしないことが費用面でも有利です。
収支を実額で比べるにはどうすればいいですか
賃料や宿泊料は立地・状態で大きく変わるため、活用向けは土地活用の相談・提案を、売却向けは複数社の査定を並行して取るのが確実です。本記事の費用・税の構造をものさしにして、届いた提案額や査定額が妥当かを見比べてください。
参考・出典
- 観光庁 民泊制度ポータルサイト(住宅宿泊事業法・年間180日): https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/ / 法の解説 https://www.mlit.go.jp/kankocho/minpaku/overview/minpaku/law1.html
- 国土交通省 DIY型賃貸借(契約書式例・ガイドブック): https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000046.html
- 国土交通省 全国版空き家・空き地バンク総合情報ページ: https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/sosei_const_tk3_000131.html
- 国税庁 No.3202(譲渡所得): https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3202.htm / No.3208(長期)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3208.htm / No.3211(短期)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3211.htm
- 国税庁 No.3306(被相続人の居住用財産=空き家の3,000万円特別控除): https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm / No.3258(概算取得費)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm
- 国土交通省 報酬告示(昭和45年建設省告示第1552号 最終改正 令和6年告示第949号/低廉な空家等・長期の空家等の貸借の特例): https://www.mlit.go.jp/tochi_fudousan_kensetsugyo/const/content/001750143.pdf
- 総務省 令和5年住宅・土地統計調査 基本集計 結果概要(空き家900万2千戸・13.8%): https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf
- 総務省「固定資産税・都市計画税」(住宅用地の課税標準の特例): https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_11.html

