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相続した実家が空き家のまま傷み、思い切って解体しようと見積もりを取ったら費用の重さに手が止まる。「国の補助金があるはず」と検索しても、はっきりした一律の制度が出てこない。こうした行き詰まりは、探し方の前提を一つ取り違えていることが多いです。空き家の解体費を助ける公的な支援は、全国どこでも同じ金額がもらえる「国の一律制度」としては存在しません。実際に使えるのは、あなたの物件がある市区町村が設けている制度です。
ですから探すべきは「日本全国の一覧表」ではなく、自分の自治体のページです。本記事は、どこを、どんな言葉で、いつ探せばよいかを「検索語・窓口の呼び名・年度の切れ目」の3点で手順化し、東京都・横浜市・大阪市の実際の条件と上限額を例に、申請でつまずかない順番までを示します。
空き家の解体補助金に「全国一覧」が無い理由

解体補助を検索して混乱するのは、比較サイトが各地の制度を寄せ集めた「一覧」を載せているのに、自分の街の制度がそこに無いことがあるからです。理由は単純で、制度を作るかどうか、いくら出すか、どんな空き家を対象にするかを決めているのが市区町村だからです。隣の市にある制度が自分の市には無い、ということが普通に起こります。
国が関与しないわけではありません。国は空き家対策を進める自治体を財政面で後押しする枠組みを持っており、住民が実際に使う補助制度は、その支援を受けながら市区町村が組み立てて運用します。つまり補助の窓口も申請先も市区町村で、国に直接申し込む窓口があるわけではないと考えるのが実態に近いです。空家等対策の推進に関する特別措置法は令和5年6月14日に公布・同年12月13日に施行され、危険な空き家の除却(解体)や活用を進める枠組みが強化されました。この流れの中で、除却を助ける制度を設ける自治体が広がっています。ただし制度の有無・金額・条件は自治体ごとに異なるため、最終的には自分の自治体の公式ページで確かめる必要があります。
自分の自治体の制度を探す3つの手がかり
手がかり1|検索語をそろえる
まず「(市区町村名) 空き家 解体 補助金」で検索します。ヒットが弱いときは、行政が使う言い回しに寄せると届きます。有効なのは「老朽危険空家 除却」「住宅除却 補助」「狭あい道路 老朽住宅」「不燃化 建替え」などです。解体を行政文書では「除却」と書くこと、危険と判定された古い木造を「老朽危険空家」と呼ぶことを覚えておくと、目当ての要綱ページに一気に近づけます。
手がかり2|窓口の呼び名から入る
検索で出ないときは、担当部署の名前から自治体サイト内を探します。空き家の相談を束ねる「空家対策担当」、耐震や解体を扱う「建築防災課」、密集市街地の整備を担う「都市整備」「密集市街地整備」の部署が、解体補助の要綱を持っていることが多いです。都道府県が区市町村の制度を一覧化しているページを入口にする方法もあります。東京都は都内の区市町村ごとの支援状況をまとめたページを公開しており、自分の区市に制度があるかを一目で確認できます。
手がかり3|年度の切れ目を意識する
補助金は年度(4月から翌年3月)ごとに予算枠が組まれます。受付開始・締切・工事完了の期限がすべて年度で区切られ、予算が尽きると年度途中でも受付が止まります。たとえば横浜市の住宅除却補助は、令和8年度の申請受付が令和8年4月1日から令和8年12月28日まで、工事完了と完了報告書の提出が令和9年2月末までと定められています(2026年9月時点・公式サイト確認)。前年度のページを見て「もう終わった」と誤解したり、逆に古い金額を鵜呑みにしたりしないよう、必ず最新年度の要綱を開いてください。
空き家 解体 補助金の実例一覧(東京都・横浜市・大阪市)

金額や条件は自治体ごとに大きく違います。全国の目安ではなく、探し方の型を掴むための具体例として3自治体を並べます。いずれも2026年9月時点・公式サイトで確認した内容です。
| 自治体(制度名) | 主な対象 | 補助額の上限 | 問い合わせ窓口 |
|---|---|---|---|
| 東京都(空き家家財整理・解体促進事業) | 都内の空き家所有者等。東京都空き家ワンストップ相談窓口に相談した人が対象 | 解体は費用(消費税等を除く)の2分の1・上限10万円/家財整理は2分の1・上限5万円 | 住宅政策本部 民間住宅部(空き家対策担当)03-5320-5148 |
| 横浜市(住宅除却補助制度) | 平成12年5月末日以前に着工し、耐震性が低いと判断された木造住宅等 | 旧耐震(昭和56年5月末以前)上限50万円/新耐震(昭和56年6月〜平成12年5月末)は一般世帯20万円・非課税世帯40万円 | 建築局建築防災課 耐震事業担当 045-671-2943 |
| 大阪市(狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度) | 幅員4m未満の道路に面する昭和25年以前の木造住宅(対策地区)など | 戸建105万円/戸(補助率2分の1以内)/重点対策地区は戸建170万円/戸(補助率5分の4以内) | 都市整備局 耐震・密集市街地整備受付窓口 06-6882-7053 |
広告この記事の結論:解体工事110番
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同じ「解体補助」でも、東京都は相談窓口を経た所有者に上限10万円と少額、横浜市は耐震性と築年で上限が階段状に変わり、大阪市は道路の幅と築年で戸あたり100万円超が出る、というように設計思想がまったく違います。だからこそ「全国いくら」ではなく「自分の自治体はいくら・どんな条件か」を見に行くことが必要になります。
上限額の見え方を計算例で確かめる
横浜市の旧耐震住宅は、補助額が複数の基準のうち最も低い額に決まります。基準の一つに面積限度額「21,800円×延床面積(平方メートル)×3分の1」があります。延床100平方メートルの旧耐震木造なら、21,800円×100×3分の1=約72万6千円です。これと上限50万円を比べると、低いほうの50万円が上限になります。つまり延床が大きくても、上限額の壁が先に来て50万円で頭打ちになる、という読み方ができます(2026年9月時点・公式サイト確認)。実際の解体費の全国平均は公的な統計が無く、構造・延床・立地(重機が入るか)・残置物の量で大きく変わるため、補助額は「工事費のいくらか」ではなく、まず自治体の上限額と補助率から逆算して考えるのが現実的です。
補助を受けられるか判断するフロー
制度を見つけたら、次の順で当てはめると使えるかどうかの見当がつきます。
- 建物の構造と築年を確認する。多くの制度は木造や、旧耐震(昭和56年5月末以前着工)など古い建物を対象にします。新しい建物や鉄筋コンクリート造は対象外のことが多いです。
- 立地条件を確認する。大阪市の例のように「幅員4m未満の道路に面する」など、密集市街地や狭あい道路沿いに限る制度があります。地区指定から外れると使えません。
- 危険・老朽の判定が要るか確認する。横浜市のように耐震性が低い(倒壊の危険がある)と判断されることが条件の制度があります。事前の診断や現地確認が必要な場合があります。
- 時期を確認する。今年度の受付期間内か、工事完了の期限に間に合うか。着手前の申請が必要か。ここで年度の切れ目が効いてきます。
1から4まで当てはまり、上限額と補助率で手出しの負担が見合うなら申請へ進みます。どこかで外れる場合は、補助を前提にせず解体費を全額自己負担で見積もる前提に切り替えて、後述の売却との比較に移ります。
申請でつまずかないための注意点

最も多い失敗は、契約や着工を先に済ませてしまうことです。解体補助の多くは「着手前に申請し、交付決定を受けてから工事契約・着工する」順番を求めます。先に壊してしまうと、要件を満たしていても補助の対象外になります。見積もりを取る段階で、自治体の担当課に「着工前に申請が要るか」を必ず電話で確認してください。あわせて、対象経費の範囲(本体解体だけか、残置物処分・整地を含むか)、必要書類、完了報告の期限も先に聞いておくと二度手間を避けられます。
もう一つ意識したいのは、解体後の固定資産税です。住宅が建っている土地は課税標準を軽くする特例が付いていますが、更地にするとこの特例が外れ、土地の固定資産税が上がる場合があります(上がり方は条件により異なります)。補助で解体費の一部が戻っても、翌年以降の税負担が増えることがあるため、解体は「壊した後にどうするか」まで決めてから判断するのが安全です。
解体して更地で売るか、古家を残したまま買い取ってもらうかで、最終的な手取りと期間は変わります。解体費と補助の有無、更地後の税負担まで含めて比べたいときは、空き家 売却の進め方|仲介と買取で手取りと期間はここが違うで、仲介・買取それぞれの費用と期間の違いを確認してください。老朽が進んだ空き家や再建築不可の物件は、解体せずそのまま買い取る事業者に査定を出して、解体費と補助を差し引いた実質と比べる手もあります。
よくある質問
空き家の解体費用を国が直接出してくれますか
全国一律で国が個人に給付する制度はありません。国は空き家対策を進める自治体を支える立場で、住民が実際に使う解体補助は市区町村が設けて運用します。申請先も相談窓口も市区町村になります。
補助金はいつ申請すればよいですか
多くの制度は着手前の申請が原則です。工事契約や着工を先に済ませると、条件を満たしていても対象外になることがあります。見積もり段階で担当課に申請の順番を確認してください。
どんな空き家でも対象になりますか
対象は限定されることが多いです。横浜市は平成12年5月末日以前に着工した耐震性の低い木造住宅等、大阪市は幅員4m未満の道路に面する昭和25年以前の木造など、構造・築年・立地の条件があります。自分の物件が地区指定や築年の条件に入るかを先に確かめます。
解体費の全額が補助されますか
全額は出ません。補助率(2分の1など)と上限額が定められ、複数の基準のうち最も低い額になる仕組みが一般的です。横浜市の旧耐震では、面積から出す限度額と上限50万円を比べ、低いほうが上限になります。
年度をまたぐとどうなりますか
受付期間・完了期限が年度で区切られ、予算が尽きると年度途中で受付が止まります。横浜市の令和8年度は受付が令和8年12月28日まで、工事完了と完了報告が令和9年2月末までです。前年度の情報や締切切れに注意し、最新年度の要綱を見てください。
制度が見つからないときはどうすればよいですか
「(市区町村名)空き家 除却 補助」など行政の言い回しで検索し直すか、空家対策担当・建築防災課・都市整備の部署へ電話で聞くのが確実です。東京都のように、区市町村ごとの制度の有無をまとめた一覧ページを入口にできる場合もあります。
補助を待つより早く手放したいときは
制度の受付を待つ間も維持費や税は発生します。解体して売る場合の手取りと、古家のまま買い取ってもらう場合の手取り・期間を並べて比べ、補助を差し引いた実質で判断すると、待つ価値があるかが見えます。
参考・出典
- 東京都住宅政策本部「空き家家財整理・解体促進事業」 https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/akiya/hojo/kaitai_seiri
- 東京都住宅政策本部「区市町村の空き家対策の取組状況」 https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/akiya/hojo/kushichoson_jyokyo
- 横浜市「木造住宅除却補助制度」 https://www.city.yokohama.lg.jp/business/bunyabetsu/kenchiku/bosai/taishin/hojokinshienseido/mokutai/jyuutakujyokyaku.html
- 横浜市「空家を手放したい方へ(解体)」 https://www.city.yokohama.lg.jp/kurashi/sumai-kurashi/jutaku/sien/akiya/kaitai.html
- 大阪市「狭あい道路沿道老朽住宅除却促進制度」 https://www.city.osaka.lg.jp/toshiseibi/page/0000531835.html
- 大阪市「空家の適正管理・利活用(補助制度一覧)」 https://www.city.osaka.lg.jp/toshikeikaku/page/0000406807.html
- 空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC1000000127
- 国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律の概要」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001621960.pdf

