空き家対策特別措置法|改正で何が変わったか

\u7a7a\u304d\u5bb6\u5bfe\u7b56\u7279\u5225\u63aa\u7f6e\u6cd5\uff5c\u6539\u6b63\u3067\u4f55\u304c\u5909\u308f\u3063\u305f\u304b 税金・法律

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相続した実家に誰も住まなくなって数年、庭木が伸び屋根の一部が傷んできたころ、市区町村から「空家等の適切な管理について」といった文書が届いた。放っておくと税金が上がると聞いたが、いつ、どの段階で何が起きるのかが分からない。そんな場面で読まれるのがこの記事です。

空き家対策特別措置法(正式名称「空家等対策の推進に関する特別措置法」)は、2023年(令和5年)に大きく改正されました。押さえるべき結論を先に言えば、判断の基準は「自分の空き家が、行政の措置のどの段階にいるか」の一点です。何もない状態から、指導、勧告、命令、代執行へと段階が進み、「勧告」を受けた時点で固定資産税を軽くする特例が外れます。改正で新設された「管理不全空家」も、この勧告に至れば同じ扱いになります。段階ごとに何が起きるかを知り、勧告の前に手を打てるかどうかが分かれ目です。

空き家対策特別措置法はどんな法律か

この法律は2015年(平成27年)に全面施行され、放置された空き家による倒壊・衛生・景観・防犯の問題に、市区町村が権限をもって対応できるようにしたものです。国の統計では、2023年10月時点の空き家は全国で900万2千戸、空き家率13.8%と過去最多・過去最高になりました。使用目的のない空き家に限っても、この20年で1.9倍(1998年の182万戸から2018年の349万戸)に増え、2030年には470万戸に達すると見込まれています。増え続ける空き家に対し、法律の側も対応を強化してきた、という背景があります。

法律上の「空家等」とは、建築物や附属工作物で「居住その他の使用がなされていないことが常態であるもの及びその敷地」と定義されます。おおむね1年を通じて使われていない状態が目安です。この「空家等」のうち、周辺に危険や悪影響を及ぼす状態のものを別扱いにして、行政が段階的に関与していく、というのが法律の骨格です(特定空家等そのものの細かい要件は別記事で扱います)。

2023年(令和5年)改正で変わった3つの柱

令和5年の改正法は、2023年6月14日に公布され、2023年12月13日に施行されました。柱は「活用の拡大」「管理の確保」「特定空家の除却等」の3つです。

柱1・管理不全空家という新しい区分ができた

改正の目玉が「管理不全空家等」の新設です。これは「適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態」の空き家を指します。つまり、まだ倒壊の危険がある「特定空家」ほど深刻ではないが、このままだとそこへ進みそうな段階の空き家を、早めに行政が捕捉できるようにしたものです。市町村長はこの管理不全空家の所有者に対して指導を行い、改善されず特定空家になるおそれが大きいと認めるときは、修繕や立木竹の伐採などの勧告ができます。

柱2・活用を後押しする仕組みが増えた

放置を防ぐ一方で、使える空き家は使ってもらう方向の制度も加わりました。市区町村が「空家等活用促進区域」を定めて用途規制などを緩和できるようになり、NPOや社団法人などを「空家等管理活用支援法人」として指定し、所有者と地域の橋渡しをさせる仕組みも設けられました。国は施行後5年で活用促進区域100区域、支援法人120法人、管理・除却等15万物件という目標を掲げています。売る・貸す・活用するといった出口の後押しが制度として整えられた形です。

柱3・特定空家の除却がしやすくなった

危険な空き家への対応も強化されました。市町村長が所有者に報告を求められる報告徴収権が明記され、災害の危険が切迫しているのに命令をしている時間的余裕がないときの「緊急代執行」が新設されました。所有者が分からない場合や緊急代執行の費用は、確定判決を待たずに徴収できるようになっています。また、相続放棄などで所有者が不在の空き家について、市区町村長が財産管理人の選任を家庭裁判所へ請求できるようになりました。

措置の段階を整理する(指導・勧告・命令・代執行)

改正でルートが2本になったと考えると分かりやすくなります。まだ軽い「管理不全空家」のルートと、危険が現実化した「特定空家」のルートです。どちらも「勧告」で固定資産税の特例が外れる点は共通し、命令と代執行まで進むのは特定空家のルートだけです。

段階 管理不全空家(第13条) 特定空家(第22条)
入口 放置すれば特定空家になるおそれ 倒壊・衛生・景観など著しい状態
指導 助言又は指導
②勧告 あり(特定空家になるおそれが大きいとき) あり(相当の猶予期限を付けて)
③命令 なし あり(正当な理由なく措置をとらないとき)
④代執行 なし 行政代執行・緊急代執行あり(費用は所有者負担)
勧告で固定資産税特例 解除される 解除される

特定空家のルートは、助言・指導で改善しなければ、相当の猶予期限を付けて除却・修繕・立木竹の伐採などを勧告し、それでも正当な理由なく措置をとらないときは、意見書提出などの機会を設けたうえで命令に進みます。命令を履行しない、内容が不十分、期限までに完了の見込みがないときは、最終的に行政代執行となり、その費用は所有者が負担します。

勧告を受けると固定資産税はどうなるか

所有者にとって最も影響が大きいのが、固定資産税の住宅用地特例です。住宅が建っている土地は、200㎡以下の部分について課税標準が6分の1に軽減されています(一般住宅用地は3分の1)。ところが、管理不全空家・特定空家として勧告を受けると、この特例の対象から外れます。特例が外れると200㎡以下の部分は課税標準が元に戻り、最大で6倍になり得ます。改正によって、特定空家だけでなく管理不全空家にもこの解除が及ぶようになったことが、実務上の大きな変化です。

判断の目安はシンプルです。指導の段階なら特例は維持され、勧告に進むと外れます。したがって、行政から文書が届いた段階でそれが「指導」なのか「勧告」なのかを確認し、勧告に至る前に草刈り・修繕・売却などで状態を改善できるかどうかが分かれ目になります。税額そのものの計算は物件の評価額や自治体で変わるため、詳しくは固定資産税を扱う記事や自治体の窓口で確認してください。

違反したときの罰則(過料)

この法律には罰則も定められています。特定空家に対する市町村長の命令に違反した者は、50万円以下の過料の対象です。また、報告をしない・虚偽の報告をする・立入調査を拒み妨げ忌避した者は、20万円以下の過料の対象になります。過料は前科のつく刑罰とは異なりますが、金銭的な負担であることに変わりはありません。命令や代執行の費用負担と合わせて考えると、放置し続けるほど所有者のコストは膨らんでいく構造になっています。

所有者が今とるべき対応

順序立てて考えると迷いにくくなります。まず、行政から連絡が来ているかを確認します。来ていなければ、草刈り・換気・雨漏り補修など最低限の維持管理を続けられるかを検討します。維持が難しいなら、早い段階で売却や買取、あるいは活用(賃貸・空き家バンクへの登録など)といった出口を選ぶのが現実的です。すでに指導や勧告を受けているなら、猶予期限のあるうちに改善するか手放すかを決めることになります。相続放棄をした場合でも、放棄の時点でその空き家を現に占有していた人には、引き渡すまでの保存義務が残る点にも注意が必要です。

売却や買取を含めた具体的な進め方と費用は、空き家 売却の方法と費用|仲介・買取・一括査定の違いで、仲介・買取・一括査定の3ルートを費用と期間で比較しています。管理を続けるより手放したほうがよいと判断したときの、次の一歩の入口として使ってください。

よくある質問

空き家対策特別措置法の2023年改正はいつ施行されましたか。

令和5年(2023年)6月14日に公布され、同年12月13日に施行されました。管理不全空家の新設、勧告による固定資産税特例の解除、緊急代執行の新設などがこの改正で導入されています。

管理不全空家と特定空家は何が違いますか。

特定空家は、倒壊のおそれや著しい衛生・景観上の問題がある深刻な状態を指します。管理不全空家は、放置すればその特定空家になるおそれがある一段階手前の状態です。管理不全空家には指導と勧告までしかなく、命令・代執行は特定空家だけに適用されます。

指導と勧告で扱いはどう変わりますか。

大きく変わるのが固定資産税です。指導の段階では住宅用地の特例が維持されますが、勧告に進むとその特例が外れ、200㎡以下の部分は課税標準が元に戻ります(最大6倍)。勧告の前に状態を改善できるかどうかが重要です。

相続放棄すれば空き家の責任から完全に逃れられますか。

いいえ。民法940条により、放棄の時にその財産を現に占有していた人は、相続人などに引き渡すまで自己の財産と同一の注意をもって保存する義務を負います。占有していない遠方の相続人にはこの義務はありませんが、詳細は相続放棄を扱う記事や専門家に確認してください。

命令に従わないと何が起きますか。

特定空家への命令に違反すると50万円以下の過料の対象になります。さらに命令を履行しないと行政代執行に進み、除却などの費用は所有者が負担します。危険が切迫している場合は緊急代執行が行われることもあります。

空き家を活用したい場合、改正で使える制度はありますか。

市区町村が定める空家等活用促進区域や、所有者と地域をつなぐ空家等管理活用支援法人の制度が新設されました。まずは物件のある自治体の空き家相談窓口で、活用促進区域や支援法人の指定があるかを確認するとよいでしょう。

参考・出典

  • 空家等対策の推進に関する特別措置法(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/426AC1000000127
  • 国土交通省 改正法(令和5年)概要: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001621960.pdf
  • 国土交通省 空家等対策特別措置法の改正について: https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000138.html
  • 総務省 固定資産税・都市計画税(住宅用地の特例): https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_zeisei/czaisei/czaisei_seido/150790_11.html
  • 民法 第940条(相続の放棄をした者の義務)(e-Gov法令検索): https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
  • 法務省 相続放棄をした者の管理義務の見直し(新制度の概要): https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00499.html
  • 総務省 令和5年住宅・土地統計調査 基本集計(確報)結果 概要: https://www.stat.go.jp/data/jyutaku/2023/pdf/kihon_gaiyou.pdf
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